アスタキサンチン 日常感じる疲労軽減 アスタリールが論文発表(2016.8.25)


 日常生活で感じる肉体的および精神的な疲労感を同時に軽減させる働きがアスタキサンチンにあることを、天然アスタキサンチン製造販売大手のアスタリール㈱(富士化学グループ)が臨床試験によって確認し、このほど査読付き論文が臨床医学系専門誌に掲載された。論文に基づき同社は今後、同成分を機能性関与成分にした機能性表示食品について、新たなヘルスクレームの届出を目指す。

 論文は、「日常生活を想定した精神および肉体の両面に対するアスタキサンチンの抗疲労効果に関するランダム化比較試験」のタイトルで、先月末発刊の『臨床医薬』に掲載された。同社は日常生活における疲労とは、「肉体的なものと精神的なものの複合」だと説明している。

 抗疲労効果を検証する臨床試験は、一般的に、肉体的負荷、または精神的負荷を被験者に与え、それぞれの急性的な疲労感に対する影響を個別に評価する。一方、今回の臨床試験では、精神的および肉体的な負荷を同じ日のうちに与え、一過性の肉体的・精神的疲労感に及ぼす影響を同時に評価する方法を採用した。

 同社研究開発部の富永久美部長は、「サプリメント原料について、このような試験系で、肉体的・精神的疲労感の軽減作用が同時に確認された例は過去にない」といい、「日常的な疲労感に相当する急性疲労が、慢性疲労に移行するのを抑制できる可能性がある」と話す。

 試験は、健常男女39名を2群に分けて8週にわたり実施。アスタキサンチンを摂取した群は、VAS評価の結果、「身体的疲労感」と「精神的疲労感」の両方が有意に改善するとともに、〝イライラ〟や〝体の軽快さ〟といった評価項目についても有意な改善が認められた。

 また、ストレスにより上昇する唾液コルチゾールがアスタキサンチン群で有意に低下したほか、慢性的なストレスで低下するといわれる唾液分泌型免疫グロブリンAはプラセボ群で有意に低下したのに対し、アスタキサンチン群は低下しなかった。さらに、精神負荷として「内田クレペリンテスト」を実施したところ、テスト後半における誤答の増加がアスタキサンチン摂取群では抑制されたという。

 アスタキサンチンを関与成分にした機能性表示食品をめぐっては、これまでに8品目が届け出られており、「目の疲労感」を軽減する機能を訴求している。

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