供給伸ばすシャンピニオン(前) 消臭機能、再び需要拡大期(2013.11.21)


 消臭素材の拡販を高齢者向け食品で図ろうとする動きが見られる。とりわけ注目されているのは病院や介護施設で利用される食品。入院患者の栄養補給を目的にした経腸栄養剤など食品や食事に配合することで、同時に便臭を抑えようというものだ。

 こうした食品の需要は「すでに粉ミルクよりも大きい。今後さらに高まる」(業界関係者)という見方も。高齢入院患者を看護したり、介護したりする上で、オムツ交換などの際に生じる便臭は当事者のみならず、病室内など環境に与える影響も大きいからだ。便臭を抑えるという機能性は、社会的要請にも応えられるといえる。

 一方、消臭素材の拡販先としてこうした食品が注目される背景としては、リコムが開発した「シャンピニオンエキス」の存在も大きいようだ。1990年代に高齢入院患者の便臭低下および便性改善作用が臨床試験で報告されて以来、高齢者向け食品にも配合されてきたが、その動きは現在においてより活発化している。「最近では特に経腸栄養剤向けの販売量が伸びています。病院食への配合も始まっています」と同社では話す。

 シャンピニオンエキスを摂取すると便臭が抑えられるのはなぜか。アンモニア、メチルメルカプタン、硫化水素、アミンといった便臭の原因となる腸内腐敗産物を減少させることが明らかにされている。
 また、腸内腐敗産物を減少させる理由としては、腐敗産物を発生させる要因となる腸内有害菌─クロストリジウム菌、ブドウ球菌等─を減少させる一方、ビフィズス菌は増加。これにより、腸内環境を改善させるのに伴う便臭減少作用のあることが示唆されている。

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 シャンピニオンエキスの動きは至極順調である。高齢者用食品向けで供給量を伸ばすと同時に、「今年に入ってから健康食品向けも増加傾向にあります。海外、特に東南アジアへの輸出量も伸びています」と同社。病者向け以外でも、消臭機能食品に対する需要が再び高まっている(続く)。

【関連記事・供給伸ばすシャンピニオン(後) 抗菌ペプチド誘導活性で新知見(2013.12.12)


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