届出評価第2弾を実施 ASCON(2016.9.22)

ASCON修正

 機能性表示食品の届出番号A1~80までの届出を独自基準で評価し、今年5月に結果公表していた、消費者庁元長官の阿南久氏が代表理事を務める消費者団体「消費者市民社会をつくる会」(ASCON)は9日、新たに同A81~170までの評価をいったん終了し、各届出者への通知を進めていることを明かした。関係者によると、評価結果の公表は、今秋にもASCONのホームページで行う。

 届出の独自評価は、「ASCON科学者委員会」が定めた評価基準に基づき同委員会で評価している。届け出られた論文の数などに応じてA~Cの3段階でランク付けする評価結果については、届出者との間でEメールなどを通じた意見交換を行ったうえで、その内容とともに公表。前回の公表では、評価結果が届出者と合意できなかった場合、「見解不一致」とする評価結果を公表していた。

 ASCONは9日、機能性表示食品をテーマにしたセミナーを都内で開催。この中でASCON科学者委員会副委員長の鈴木勝士氏(日本獣医生命科学大学獣医学部名誉教授)が講演し、届出番号A81~170の評価を終えたことを明らかにした。評価の考え方やその方法について、基本的なところに変わりはないという。

 一方、鈴木氏は、「評価に時間がかかっているのはざんきに絶えない。一番の問題は、我々評価委員会のマンパワー不足」などと独自評価を巡る悩みを吐露。そのため、今後は同委員会が効率的に評価できるようにするための「チェックリスト」を用意し、届出者に対し協力を求めたい考えを示した。

 鈴木氏によるとチェックリストの中身は、研究レビューで届け出た論文に関する査読の有無、試験の種類、被験者の数、被験者に20歳未満の者を含むかどうか、被験者に境界領域を超える者を含むかどうか、含む場合はその理由などについて届出者に尋ねるものだとしている。

 この日のセミナーには、機能性表示食品を複数届け出ているキリン㈱、味の素㈱、㈱東洋新薬の3社も登壇し、各社の取り組み状況を解説したり、制度に対する見解を述べたりした。

 その中でキリン品質保証部の田隝修氏は、ASCONによる届出評価について、「独自基準を示したうえで評価し、事業者と意見を重ねたうえで評価しており、制度の健全な運用に寄与すると考えています」と評価した。

 一方、ASCONが「成人」の定義を形式的に20歳以上としていることについて、「科学的な判断も必要」だとし、「年齢による影響が考えられなければ、科学的根拠の網羅性を重視し、18歳~19歳の被験者が一部含まれる論文も採用すべき」と指摘した。

 また、科学的根拠の程度をA~Cの3段階で相対評価していることに関しては、「評価指標が変われば結果が異なる」ほか「消費者が評価基準を理解できない可能性がある」と指摘し、「一般への情報開示では定性的なコメントを併記する方が望ましい」と改善を求めた。

 このほか講演した事業者からは、制度運用上の課題として、「届出から受理までのリードタイムが読めず、事業計画の見通しを立てにくい」と不満の声もあがった。届出表示について、「消費者の誤認を招くか否か」などの見解が届出者と消費者庁との間で異なる場合も多いため、「そのすり合わせが難しいため、複数回差し戻されることがある」という。

【写真=ASCON 機能性表示食品をテーマにセミナー開催(9月9日、東京・渋谷)】

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