機能性関与成分検討会レポート エキス対象化も議論延長 「そもそも反対」の意見また(2016.10.6)


 4日に開催された「機能性関与成分の取扱い等に関する検討会」の第9回会合で消費者庁は、機能性関与成分が明確でない食品(エキス等)を条件付きで制度対象に追加する方向で具体案を示した。これを軸に議論が進み、おおよその結論を得られるかに思えた会合の終了予定時刻間際、一人の委員が突然、「時期尚早」「認めるべきでない」などとして追加そのものに反対し、これに別の委員が同調。さらに座長が同2委員の主張を受けて議論の延長を決めた。

報告書まとめは11月会合予備日使う事態
 「前代未聞の〝ちゃぶ台返し〟」「あまりに仕切りが悪い」。傍聴した業界関係者からは、非難と驚きの声が上がった。反対したのは東京大学大学院教授の佐々木敏委員。同意したのは消費生活コンサルタントの森田満樹委員。機能性関与成分が明確でない食品を制度に加える方策を積極的に提案してきた国立医薬品食品衛生研究所の合田幸広委員は、「ここでまた元に戻ってしまうと、話がずっとまとまらない」と嘆いた。

 同庁は11月初旬予定の第10回会合で報告書を取りまとめるスケジュールを示していた。ただ、帝京大学臨床研究センター長の寺本民生座長の判断を受け、会合の「予備日」としていた今月18日に再び議論を行う。

 一方、同庁はこの日の会合で結論を得る心づもりを固めていたと見られ、「予備日は使わないと言われていた」と委員に近い複数の関係者が話す。突然ともいえる決定に、18日の会合は欠席せざるを得ない委員が出てくる可能性もありそうだ。

 またこの日の会合では、前回会合で結論の得られなかったビタミン・ミネラルの取り扱いに関する議論の「延長戦」も予定されていたが、一切触れられないまま終わった。議事進行上の問題がなかったとはいえず、座長はビタミン・ミネラルに議題を変える素振りさえ見せなかった。そのまま閉会しようとしたため、検討会事務局を慌てさせる場面も見られた。ビタミン・ミネラルについても18日の追加会合で議論する。

 機能性関与成分が明確でない食品の制度追加に反対した佐々木委員は、「これだけの人たちが集まって議論してすら、定義が非常に難しかったりすることが改めて明確になった。消費者庁がこれを扱ってよいのか。時期尚早でないか。少なくとも今回は認めるべきではない」などと主張し、議論を振り出し以前の段階にまで引き戻そうとした。

 一方、天然物科学を専門とする合田委員は、「扱うべきだ」と反論。機能性関与成分は明確でなくても、「ミクスチャー」(抽出物)として機能性や安全性に関するエビデンスを持つものがあり、それらを一定の品質管理の下で「消費者に還元できる」制度にする必要があると主張した。

 また、これまでの議論を全て「ご破算」にするかのような佐々木・森田両委員の主張に対し、「すでにエキスも入ってきている。現行制度を調整するという意味で議論は有益」(梅垣敬三委員)、「消費者庁の体制整備がある程度確保されれば、ここまで議論したので、追加してもいいのではないか」(赤松利恵委員・お茶の水女子大学教授)などと、反論する声が複数の委員から上がった。

 寺本座長は追加会合の開催を判断した理由について、「ここで意見集約するのは難しい」などと述べた。また、これまでの議論を「反故にするというわけではない」という。ただ、座長はこの日、宮島和美委員(日本通信販売協会)による発言を「時間」を理由に途中で遮ろうとした。その一方で、その後に出た佐々木委員の「反対」発言は受け入れており、佐々木委員と同じような問題意識を抱いている可能性も考えられる。

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