トクホ全品調査 流通品目の360余り 許可数の3割未満(2016.11.10)


 特定保健用食品(トクホ)の表示許可品目数は約1270品目あり、市場規模は2015年度で6391億円にのぼるとされる一方で、現在販売されている商品数は366品目と許可数の3割にも満たないことが1日、消費者庁が実施したトクホ全品を対象にした関与成分調査の結果分かった。機能性表示食品は、届出件数が500品目台に近く達する見通しで、早晩、実際の市場流通品目数についてもトクホを抜く可能性が高そうだ。調査の結果、現在販売中トクホ359品目の関与成分量は適切だったことも分かった。

 調査は、日本サプリメント㈱が販売していた「ペプチドエースつぶタイプ」などトクホの関与成分が、規定量に満たなかったことなどが発覚したのを受けたもの。同社からの報告が遅かった事態も重くみた消費者庁が全てのトクホを対象に、日本健康・栄養食品協会を通じ、関与成分量が許可申請書通りかどうかなどを調べていた。

 同庁食品表示企画課の赤﨑暢彦課長は1日、調査結果がおおよそまとまったのを受け、記者説明会を開き、日本サプリメントに端を発したトクホの品質管理を巡る問題について、「パッケージとしての再発防止策を考えたい」と述べ、具体的な対応策を固める考えを明らかにした。

 対応策の中身は今後詰めるが、赤﨑課長は「制度上に穴があったのかも含めて、実効性あるものにしたい」などと述べ、制度改正の可能性があり得ることも示唆。一方、消費者委員会も必要性を指摘していたトクホ許可の更新制を再び導入するかについては、「過去の規制緩和の経緯から、改めて導入する考えはない」(同)と明言した。

 調査結果について、日健栄協の報告を踏まえた同庁の調べによると、調査対象は計201社・1271品目。そのうち199社・1269品目について回答を得られたものの、㈲健康社と㈱エランセの2社・2品目は連絡先不明のため調査できなかった。同2社はインターネット上にホームページが見当たらず、表示許可を受けたのも10年以上前だった。

 また、現在販売されている366品目のうち、7品目に関しては期日までに分析結果が間に合わず、今月末まで報告を待つことになった。同庁は、残り7品目の報告が終了次第、再発防止に向けた具体策を固める方針だ。来年度に予定していたトクホの買い上げ調査を前倒しで実施する方針も示している。

 一方、報告のあった359品目のうち過半数の195品目が自社分析、そのほかは健康増進法で定められた登録分析機関によるものだった。また、現在販売されていない903品目の内訳は、表示許可失効予定が196品目、表示許可が最近のため現在販売準備中が39品目、残りの638品目については、「再販予定との回答を受けている」(同庁)という。

 同庁は、調査を9月27日付で日健栄協に依頼し、回答期限を1カ月後の10月26日としていた。一方、各社からの報告を取りまとめる必要のあった日健栄協は締め切りを同月17日に設定。調査期間が短かったこともあり、同日正午までの回答数は195社と、締め切り日を過ぎて回答した企業もみられた。

 同庁は1日、ウェブサイトで公開しているトクホ許可一覧を更新し、9月27日現在販売中の商品が分かるようにした。

日健栄協 日本サプリメントを退会処分
 日本健康・栄養食品協会は会員企業の日本サプリメント㈱の退会処分を発表した。協会が定めた「営業販売活動に関する倫理綱領」の第2・第8の規定のほか、「会員及び会費等に関する規程」第9条第3項に基づく処分だとしている。

 10月17日に発表した。日本サプリメントが販売していた特定保健用食品の関与成分量が規定値を満たさなかったり、関与成分として申請していた成分が実は別の成分だったりした背景について未だ真相が明らかにされていない中で、日健栄協は退会処分を決めたことになる。

 日健栄協の倫理綱領の第8では、「本協会が係わる食品業界の信用失墜、名誉毀損をもたらすような行為が会員に認められた場合には、退会させることができる」などと規定している。


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