東洋新薬 19年春に大規模新工場(2017.1.12)


 健康食品・化粧品受託製造企業の㈱東洋新薬は、本部と第1工場・第2工場を構える佐賀県鳥栖市内に大型の新工場を建設する。約65億円を投資し、2018年春に着工、19年春の竣工、稼働開始を目指す。健康食品、化粧品の受託製造件数が増加しているため、生産体制の強化を急ぐ必要があると判断した。

生産キャパ2倍強に
 新工場「鳥栖第3工場」の建設によって生産能力は現行の2倍強と大幅アップになる見通し。第1・第2工場に近接させる格好で建設する建物は、地上4階建て、延べ床面積約1万6500平方㍍と、延べ床面積は第1・第2工場を合わせた総延べ床面積と同規模にする計画。さまざまな剤形の健康食品と化粧品の両方を製造できるハイブリッド(総合)工場を建設する。

 新工場建設の目的は、第一に現行の生産能力の向上。今期は特に、機能性表示食品をはじめとした健康食品の受託製造件数が大きく伸びているため、現行の生産キャパシティは限界に達しつつある。新工場では、これまでに培った製造技術や品質管理ノウハウを反映させつつ、最新鋭の製造設備を導入することで、生産の効率化も図る。

 また、将来的には、顧客の要望に応じながら、現行工場にはない製造設備も新たに導入していく計画だ。健康食品と化粧品の「総合受託」メーカーとして、顧客ニーズ対応をこれまで以上に柔軟化する狙い。これにより、受託製造市場での一層のシェア拡大を目指す。

 同社は1997年設立。新工場の建設は、06年に竣工した熊本工場以来となる(鳥栖第1工場は01年、第2工場は05年竣工)。従業員数は16年3月現在で660名だが、新工場の竣工に伴い新たな雇用も行う。16年3月期の売上高は119億円。

受託件数が大きく増加
 東洋新薬のここ数年の業績は前期を上回る形で毎年推移している。そのような中で今期は、特に機能性表示食品を含めた健康食品の受託製造件数の増加を受け、「おかげ様で例年以上に業績は伸びそうだ」(髙垣欣也専務取締役)という。

 同社は以前から新工場の建設を検討しており、あらかじめ工場建設用地も取得していた。いよいよ建設を決定した背景には、今後さらなる増加が見込まれる機能性表示食品などの健康食品や化粧品の受託製造をめぐる顧客ニーズに応じる目的が大きい。

 同社は機能性表示食品について、公開分だけでも既に40商品近くを受託。これから製造を開始するものも少なくない。加えて、製造が始まっているものの中から、好調な売れ行きを示す商品も登場していることもあり、「いよいよ(生産キャパが)足りない状況が見えてきた。お客様に迷惑を掛けないためにも、新工場の建設を急ぐことに決めた」(同)という。

 一方、機能性表示食品以外の健康食品の案件が増えているのは、「OEMの部分が増えている」(同)ためだ。
 同社はもともと、業界トップを誇る特定保健用食品の許可取得実績に表されるように、研究開発の部分を強みとする高付加価値型の「ODM」を訴求してきた。ただ、業界認知がODMに偏り過ぎた感もあった。そのため、昨年中盤からは「ODMだけではない」として、多様な剤形・包装をはじめ、品質・コスト・スピードを重視した細かな受託製造にも対応できることを強くアピールしている。

 髙垣専務は、「OEMにも対応しているという認識が広まりつつある」といい、「新工場ではOEMに関する案件もしっかり増やしていきたい。これまでの当社は、ODMに特化しているような部分もあったが、今後はより総合的に対応し、業界トップを目指していきたい」と話している。

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