消費者庁 臨床試験届出を検証へ(2017.1.12)


 消費者庁が今年度に実施する機能性表示食品制度の検証・調査事業について、委託先の公募が昨年末に始まった。今年度は、最終商品を用いた臨床試験と、安全性評価が適切かどうかについて、それぞれ届出資料から検証する。より適切に制度運用していくための課題を抽出しつつ、届出資料の質を高める方策を検討するのが狙い。同庁は、委託先を競争入札で今月中に決め、3月27日までに調査報告書を提出させる方針だ。事業受託者に与えられる作業時間は2カ月足らず。

 検証・調査対象は、昨年9月30日までに届出公表された撤回分を除く440件のうち、最終商品臨床試験による届出論文35報。安全性については主に喫食実績のみで安全性の評価は十分と判断した81件で、内訳は届出食品による喫食実績評価が32件、類似食品による喫食実績評価が49件。安全性に関してはそれとは別に、公的機関で安全性審査が実施された成分を機能性関与成分にした届出を対象にした検証も行う。

 検証項目は、機能性の科学的根拠として届け出られた最終商品臨床試験論文がガイドラインを踏まえて適切に行われているかどうかなど。具体的には、論文掲載紙の投稿規定に査読の有無が明記されているか▽届出論文は原著論文であって査読を受けたものか▽特定保健用食品の試験方法に準拠しているか▽試験食と届出食品の同等性が担保されているか──などと事細かに検証する。

 消費者庁は昨年12月27日、同事業の仕様書を公開した。それによると事業受託者は、検証に必要な専門知識を持つ12名程度で構成される検討会を設置した上で、作業に当たる必要がある。また、検討会の下に検証テーマごとのワーキング・グループを設置し専門的観点から更なる検討を加える。作業にかかる時間については、臨床試験が1件当たり「2時間程度」、安全性については同「30分程度」で行うよう求めている。

 同庁は昨年度、届け出られた研究レビューの質と、機能性関与成分の分析方法に関する検証事業を行っていた。機能性関与成分の検証に関しては買い上げ調査も実施しており、今年度も、調査品目数を大幅に増やした買上げ調査を行う方針を示している。

 前の買上げ調査では、機能性関与成分含有量が表示値を下回っていたり、ロット間でのばらつきが大きかったりする商品も一部見つかっていた。違反の可能性があるなどとして消費者委員会が強く問題視している。

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