Jリーグ選手 ドーピング違反 摂取サプリが要因か (2017.1.26)


 Jリーグ・サンフレッチェ広島所属選手のサプリメント摂取に起因するとみられるドーピング違反に関して、サプリメント販売会社とチームとの間で主張に隔たりが出ている。販社側は「法的措置も検討する」と強気の構えで、スポーツサプリの品質管理・確認のあり方が、今後、クローズアップされそうだ。

 JADAが今月に公開した、日本アンチ・ドーピング規律パネル決定(理由書)によると、昨年9月25日に実施された競技会検査において、サンフレッチェ広島の選手から、WADA(世界アンチ・ドーピング機構)が禁止物質に指定しているメチルへキサンアミン(興奮薬に分類)が検出されたため、JADAは規定に基づき、同年10月21日に当該選手に通知し、暫定資格停止の措置を講じた。

 サンフレッチェ広島の広報担当によると、当該選手の食品摂取状況などを調べたところ、摂取したサプリメントに起因して禁止物質が検出された可能性が高いと判断したという。このサプリメントは元々、チームが製造業者と販売元に対して禁止物質が含有されていないことを確認したもので、そのうえで推奨サプリメントとしていた。

 こうした事情も考慮しJADAは昨年12月20日付けで、当該選手に対し、資格停止期間を伴わない譴責とする制裁措置を講じた。チーム側はサプリメントが原因だったことから、同12月20日のプレスリリースで「誠に遺憾の極み」とコメントしている。

 JADAによると、当該選手が日常的に服用していたサプリメントは、「LIFE STYLE エグゼクティブチョイス ナチュラルビタミンデイリーパック(6種各1粒入り)」。製造元は米国で、日本の会社が輸入販売しているもの。

 サンフレッチェ広島では、同製品に関して、先行製品の時代も含めて、1994年頃から推奨品としており、今回の禁止物質検出までの間、複数の選手が摂取していたにもかかわらず、この製品を原因としたドーピング規則違反は起きていないとしている(JADA公表理由書より)。

 当該製品の販売会社によると「(当該製品から)メチルへキサンアミンが検出されることなどあり得ない」と強く否定しており、サンフレッチェ広島側にもその旨を伝えているという。

 それに対しチーム側からは「当該選手のサプリメントにだけメチルへキサンアミンが入っていたのではないか」(販売会社)との指摘があったという。しかし、同社では「それもおかしい」としており、JADAやサンフレッチェ広島に対して「法的措置も検討する」としている。

 サンフレッチェ広島では、今回のドーピング違反制裁措置を受け、「アンチ・ドーピング体制を抜本的に見直す」(前出12月20日プレスリリース)としており、「JADAの認定商品にかかわらず、全てのサプリメントに関して、摂取しないよう選手たちに指導する」(広報担当)方針だ。
 ただ、アスリートにとってサプリメントは必須ともいえる。昨年末には、所属チームにサプリの導入を提案したプロ野球選手が話題にもなった。そうした中で、サンフレッチェ広島のサプリ禁止方針は、関係者から疑問の声も出てきそうだ。

 今回、ドーピング禁止物質が含有していた蓋然性が高いと考えられた製品は、当該ロットにのみ、品質管理に不備があった可能性も否定できない。サンフレッチェ広島には、サプリ摂取を禁じる前に、チームとして品質確認の徹底が求められるのではないか。

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