チョコが脳機能に影響 カカオポリフェノールに着目(2017.1.26)


 内閣府と㈱明治は18日、チョコレートに含まれるカカオポリフェノールと脳機能に関する研究報告会を開き、今後、1200人規模の臨床試験を行う考えを明らかにした。

 内閣府・科学技術振興機構(JST)では、2013年から「革新的研究開発推進プログラム」(ImPACT)に取り組んでおり、そのひとつとして、日本が独自開発したBHQ(脳の健康指標)を用いた「脳機能の可視化と制御による活力溢れる生活の実現」(山川プログラム)がある。

 明治は同プログラムに参加しており、高カカオチョコレート(カカオ分70%以上)の摂取と脳機能に関する研究を行っている。

 研究は愛知県蒲郡市、愛知学院大学の協力のもと、14年から15年にかけて、蒲郡市の45~69歳までの男女347人を対象に、高カカオチョコレートを4週間摂取(1日25㌘、摂取時間はランダム)してもらい、各人のBHQ値を測定した。その結果、京都大学、筑波大学、理化学研究所が共同で解析したところ、GM―BHQ(大脳皮質量)、BDNF(脳由来神経栄養因子)が有意に増加したと判断した。

 解析を担当した理化学研究所の渡辺恭良ライフサイエンス技術基盤研究センター長によれば、「他の研究に比べて結果がかなり明確に出ており、驚いている」という。

 内閣府と明治では、今回の研究結果を受けて、大規模なヒト介入試験を実施する方針。被験者は1200人以上となる見込みで、機能性関与成分の特定や作用機序の解明、糖質などの影響などを研究する予定だ。

 BHQは、大脳皮質の量(GM―BHQ)と神経線維の質(FA―BHQ)からなり、その状況をMRI診断で測ることで、脳の健康指標とする方法。日本が独自開発したもので、政府では国際標準化に向けて、国際関係機関に提案を進めている。

 脳の働きを測定する指標は「IQ」程度しかない一方で、脳疾患の研究は各国が積極的に取り組んでいる。内閣府では、疾患対策と同時に脳の疾病予防、健康維持も重要としており、認知症や発達障害の予防・改善を念頭に置いている。BDNF(脳由来神経栄養因子)はそれらに深く関与する物質として注目されている。

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