「建議」対応で異例の意見書 消費者委 トクホ、事後確認強化を要求(2017.1.26)


 消費者委員会が特定保健用食品の規制強化を消費者庁に求めている。消費者委が昨年4月に発出した、「健康食品の表示・広告の適正化に向けた対応策と、特定保健用食品の制度・運用見直しについての建議」に対する同庁の対応は「不十分」だとし、実効的な対応を強く求める意見書を取りまとめ、17日に公表した。許可後の事後チェックを「迅速かつ適切」に実施し、問題のある商品が見つかった場合は速やかに行政処分を行うよう求めている。

健食広告の監視指導も
 同庁は、2月にもトクホ制度の改正を行い、有効性や安全性に関わる「新たな科学的知見」を入手した場合、同庁への報告を法的に義務づける考え。また、第三者機関による関与成分量の定期分析と、その報告も義務付けるなどして事後チェック体制を強化する方針を示しているが、消費者委は納得していないようだ。

 消費者委は、健康食品の表示・広告についても、「速やかな監視・指導」を行うよう要求。意見書では、速やかな監視・指導、措置を行えない場合は、健康増進法の改正を検討するよう求めている。建議では、同法に不実証規制を導入すべきだとする見解を盛り込んでいた。

 消費者委の河上正二委員長は17日の本会議で、こうした意見書の発出は「異例」だと述べ、今年3月末ごろを目途に、意見書に対する対応状況を同庁に改めて確認する考えも示した。同庁が今年度中に実施する方針を示しているトクホの買上げ調査(関与成分量分析)の結果を受け、対応状況の確認を行う考え。

 消費者委はトクホの事後チェックについて、買い上げ調査でなく、法令に基づく収去調査を無作為に実施するよう同庁に要求している。意見書では、「制度が厚生労働省から消費者庁に移管されて以降、収去調査が一度も実施されていない」と指摘。法令に基づかない買上げ調査では「手ぬるい」などと考えているもようだ。

 消費者委は先月、建議に対する対応状況をフォローアップするため、2度にわたり同庁へのヒアリングを行っていた。その結果が異例の意見書の公表につながった。委員の池本誠司弁護士は17日の本会議で、「健康食品に関する制度は分かりにくく、消費者にも見えにくい。このままでは制度の信頼を失い、社会的評価を下げかねない。今はその分岐点にある」と指摘。別の委員は、「危機的状況にもかかわらず、消費者庁はのんびりしている」などと述べた。

 同庁は昨年10月末、建議に対する対応状況を消費者委に報告。その1カ月前、トクホの関与成分問題が明るみになっていた。消費者委は、建議で求めたトクホの更新制の再導入について、意見書でも、引き続き検討するよう要求している。

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