機能性表示食品制度見直し要望 「現行制度下で対応可能」(2017.2.23)


 健康食品業界団体などが政府の規制改革推進会議が設置した「規制改革ホットライン」を通じて要望していた機能性表示食品制度の見直しについて、所管する消費者庁が先月末までに回答を寄せ、大半の要望に関して「現行制度下で対応可能」とし、見直す考えのないことが15日までに分かった。このほど規制改革推進室が回答を公開した。機能性の科学的根拠について、病者データを条件付きで活用できるよう求める要望もあったものの、同庁は事実上の「ゼロ回答」を寄せた。

18・19歳「ダメじゃない」
 業界団体などが寄せた要望の中には、機能性関与成分の対象範囲を狭めることにも一部つながっている食薬区分の見直しを求める意見もあった。ただ、同区分を所管する厚生労働省は、先月末までに回答を寄せなかったようだ。食薬区分を審議するワーキンググループの議事録公開や、食品としての安全性が確認されている成分は非医薬リストに積極的に取り込むことなどが要望されていた。引き続き回答が注目される。

 一方、消費者庁は、神奈川県と健康食品産業協議会が連名で要望していた、海外の食品機能性表示制度と同様に一定条件下で病者データを機能性の科学的根拠に活用できるよう求めた「科学的根拠論文の適用拡大」について、「現行制度下で対応可能」と回答。「特定保健用食品の試験方法として記載された範囲内においては、軽症者が含まれたデータについても使用することが可能」などと説明した。

 ただ、この要望は、そもそもトクホの試験方法として記載された範囲が限定的であるため対象拡大を求めたものだった。同庁はつれない回答を寄せ、病者データの利用に引き続き反対する姿勢を示したことになる。規制改革推進会議がどう受け止めるかが注目される。

 他方で、同庁は、18歳・19歳といった民法上の未成年が含まれる臨床試験論文を研究レビューなどに活用することも、条件付きだが現行制度下で対応可能だとした。健康食品産業協議会の要望に対して答えた。

 ガイドラインでは、被験者の考え方について「原則として未成年を除く」ことが明記されている。しかし、同庁は回答で「18歳及び19歳の者を含むことについて適切に考察されている場合は、一律に18歳及び19歳の者が含まれる届出資料を対象外とはしていません」とし、そうした届出はこれまでも受け付けているとした。

ASCON評価に疑問符
 この回答を受けて業界関係者からは、機能性表示食品の届出内容を独自基準で評価し、18歳・19歳を被験者に含む届出に関し、ガイドラインの記事を根拠に疑問視する見方を公開している消費者団体「消費者市民社会をつくる会(ASCON)」に対し、「撤回してもらう必要がある」(業界団体幹部)とする声が上がっている。

 消費者庁はこのほか、サプリメント以外の加工食品と生鮮食品の研究レビュー対象文献に認められている観察研究について、「一般的にアウトカム評価項目が疾患の発症の有無あるいは疾患に関連する指標の変化となるので、届出しても受理されない」などとしてガイドラインの改正を求めた健康と食品懇話会の要望に対しても、現行制度化で対応可能だと答えた。前向きコホート研究や症例研究のアウトカム評価項目に疾患に関連する項目が含まれるのは「当然」であり、「現行ガイドラインにおいて対応は可能」との考えを示している。

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