アガロオリゴ糖 抗炎症に加え腸内フローラ改善(2017.7.6)


 寒天の主成分アガロ―スを加水分解して得られるアガロオリゴ糖。宝グループのタカラバイオが抗炎症作用のあることを突き止め、グルコサミンとの併用摂取による相乗効果も明らかにした。それによって関節ケア用途で配合されるケースが多いユニークなオリゴ糖素材だが、今後は、腸内環境改善の用途で需要が高まる可能性がある。腸内フローラ(腸内細菌叢)に対する作用もあることが最近、ヒト試験で確認されたためだ。

 同グループの健康食品事業会社で、原料供給も手掛ける宝ヘルスケアが、アガロオリゴ糖の拡販に乗り出している。タカラバイオが実施したヒトモニター試験で確認された腸内フローラに対する作用を訴求しながら腸内環境改善の新規素材として提案を強化。現在でも一定の需要のある関節ケア市場から、一般食品向けの需要も期待できる腸内環境改善市場に販路を広げることで、大きく拡販を図る狙い。

 原料供給にとどまらず、同時に手掛ける健康食品通販事業でも、先月22日、〝快調バランス〟を訴求する新商品「トトノエール」を発売。ビフィズス菌、ミルクオリゴ糖に加え、第3の成分としてアガロオリゴ糖を配合した。

 タカラバイオが実施したヒトモニター試験では、1日あたり200㍉㌘のアガロオリゴ糖を4週間、13名のボランティアが毎日摂取・摂取前後の腸内フローラの変化を解析した結果、「ファーミキューテス」の割合が減少、逆に「バクテロイデス」の割合が増加し、やせ型の人に多い腸内フローラバランスへの改善効果が認められたほか、「やせ(痩せ)菌」とも呼ばれる「クリステンセネラセエ」の増殖作用も確認したという。

 また、摂取前後でエクオール産生菌の増加も確認。アガロオリゴ糖の摂取により、摂取前はエクオール産生菌が検出できないほど少なかった被験者でも、摂取後には検出できる状態にまで菌が増加したという。エクオールは大豆イソフラボンが腸内細菌の代謝を受けて産生されるエストロゲン活性成分。

 タカラバイオでは現在、主力のバイオ産業支援事業などで培った遺伝子解析技術やノウハウを活用し、腸内フローラの解析検査受託サービスも手掛けている。アガロオリゴ糖のヒトモニター試験結果も、同サービスで利用している最新型の次世代シーケンサーと遺伝子解析技術に基づくものだという。

 同社と宝ヘルスケアは今後、腸内フローラに対して作用するアガロオリゴ糖には具体的にどのような健康維持・増進機能があるのかについて、臨床試験なども行いながら検証していく方針。機能性表示食品制度への対応も目指したい考えだ。

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