消費者庁 打消し表示取締り強化へ 消費者見落とし多く(2017.7.20)


 消費者庁は14日、広告・CMなどの打消し表示に関する実態調査報告書を公表した。同調査は公正取引委員会が2008年に実施しているが、今回の調査では、打消し表示を類型別に整理すると同時に、事業者の留意点と景品表示法上の考え方を明確化した。同庁では報告書のとりまとめを契機に、打消し表示の事実上の取締り強化に乗り出す考えだ。

 今回の調査期間は昨年10月31日から今年3月31日までで、新聞やテレビCM、ウェブ広告など494点の表示物を収集。また、ウェブによるアンケート調査(回答者数1000人)、グループインタビュー調査ほか、有識者による研究会を設置し、意見を聴取した。2008年時の調査に比べて、急増しているインターネット広告の打消し表示の実態把握を強化した。

 調査では打消し表示のパターンを新聞、動画、ウェブ(PC)、ウェブ(スマートフォン)の四つの媒体別に、①例外型②体験型③別条件型④非保証型⑤変更可能性型⑥追加料金型⑦試験条件型―の七つの類型に整理し、それぞれ一般消費者による認識の実態と景品表示法上の考え方を記載した。

 一般消費者の認識(ウェブでのアンケート調査)では、ウェブ広告での強調表示と打消し表示の文字バランスで84.3%~94.2%が打消し表示を見落としていたほか、動画で強調表示と打消し表示が複数回表示される場合でも、97%が少なくとも一つの打消し表示を見落としていた。ウェブ広告で強調表示から1スクロールした箇所にある打消し表示については、強調表示に気付いた回答者のうち67.7%が見落としていた。

 打消し表示の類型別における景表法の考え方では、特に健康食品に多い体験型について、「『個人の感想』などの打消し表示が明瞭に記載されていても一般消費者は効果を得られるという認識を抱く」とした上で、「一般消費者に誤認される時は景品表示法上、問題となるおそれがある」とした。そして、事業者の留意点として「商品の使用に当たり併用が必要な事項(食事・運動療法など)がある場合や特定の条件(BMI25以上など)の者しか効果が得られない旨を明瞭に表示する必要がある」としている。

 消費者庁では、今回の調査結果を受けて、①打消し表示がなくても商品・サービスの内容や取引条件の実際を一般消費者が認識できる強調表示とすること②強調表示と打消し表示とを合わせて、表示物全体として、一般消費者の認識と実際のものとの間に差が生じないようにすること――などを事業者に求めるとしている。

 同庁表示対策課の大元慎二課長は「報告書で示した景品表示法の考え方に沿って厳正に対処していく」と述べ、報告書の事例を踏まえて、事実上、打ち消し表示の取締りを強化していく考えを明らかにした。


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