16年度PIO‐NET集計 「危害情報」前年度比2倍に (2017.8.24)


一気に968件増 異常な増え方
 国民生活センターによると健康食品に関して消費者から寄せられる危害情報が急増している。それと関連しているかは判然としないが、健康食品の定期購入トラブルに関する相談も急増中。センターは健康食品の危害情報の事例として、健康被害と同時に定期購入トラブルを訴える女性の声を複数示している。

 センターが10日公表した16年度「PIO‐NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)にみる危害・危険情報の概要」によると、同年度に寄せられた危害情報は1万1602件で、前年度比は9%増。これを商品・役務(サービス)別に見ると、最多は健康食品で1868件と全体の16%を占め、化粧品(1168件、10%)、医療サービス(926件、8%)が続いた。

 PIO‐NETにおける「危害情報」とは、センターによると商品やサービスなどに関連して「身体にけが、病気等の疾病(危害)を受けたという情報」のこと。健康食品に関して寄せられた危害情報は、15年度898件(3位)、14年度583件(4位)と増加傾向を示していたが、16年度は一気に968件も増加し2000件近くに急増。異常な増え方といえる。

 センターによると健康食品に関して危害情報を寄せたのは女性が1622件とほぼ9割。寄せられた危害内容に関しては消化器障害が969件と過半数を占め、それに次ぐのは皮膚障害の592件。商品の内訳については、酵素食品が前年度から344件増加し534件と多く、「ダイエット食品も目立った」(商品テスト部)という。

 一方、「危害情報」とは言っても情報が寄せられた健康被害と商品の間の因果関係は不明。PIO‐NETには、消費者から寄せられた情報を聞き取った「メモ」があげられている。

 また、寄せられた危害情報の中には、健康被害と同時に定期購入トラブルを訴える声が少なくないようだ。そのため、危害情報が増えているとはいえ、健康被害に関する情報が増加しているとは一概に言えない面がある。センターは健康食品に関して寄せられた危害情報の「事例」として次の2つを示す。

 「スマホで青汁の初回お試しを注文。湿疹が出て体調不良になったと言ったのに、4回の定期購入で解約不能と言う。納得がいかない」(女性歳代)
 「ネットでお試し500円という酵素を注文したら、定期コースの申込みになっていた。飲むと下痢をしたり体調不良になるし、やめたいが連絡不能」(女性50歳代)

定期購入トラブル 15年度から急増
 定期購入トラブルとは、健康食品や化粧品などに関して「商品を通常価格より安い価格で購入したところ、実際は定期購入契約だったというトラブル」(国民生活センター)のこと。「消費者の認識が『お試し』『1回だけ』でありながら実際には定期購入契約になっているという相談が多く寄せられている」(同)。

 センターによるとPIO‐NETに16年度に寄せられた健康食品に関する消費生活相談は2万9312件、化粧品は1万2446件。前年度比でそれぞれ7270件、3030件増えた。増加の背景には「定期購入に関する相談の増加が影響している」ことがあるという。

 定期購入トラブルに関する相談は15年度に急増。14年度は2000件未満だったものが5600件以上に増加した。これを受けてセンターは昨年6月、消費者に対して注意喚起。それによってトラブルが顕在化し、16年度はさらに相談件数が増えているものとみられる。

 センターでは、「(健康食品の)危害情報が急増した原因ははっきり分からない。定期購入トラブルの増加と危害情報の増加の間に関連があるかどうかも分からない」(商品テスト部)と話す。ただ、センターが公表した危害情報事例を踏まえると、定期購入トラブルの増加が危害情報の増加にも影響を及ぼしている可能性は無視できない。センターには危害情報の分析が求められるといえそうだ。


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