トクホ 消費者庁が調査事業 有効性 安全性 情報公開の充実化向け(2017.8.24)


 特定保健用食品(トクホ)の有効性・安全性に関する情報公開の充実化に向けた委託調査事業を消費者庁が実施する。一般競争入札で決定する委託先に、来年3月末までに報告書をまとめてもらう計画。調査では、消費者を対象にしたグループインタビューなどを行う。調査を通じ、国立健康・栄養研究所が公開しているトクホの製品情報データベースについて、消費者のみならず医師など専門家にも有意義な情報源となるよう情報の追加・修正を図るための基礎資料などを得たい考え。

 事業名称は「特定保健用食品の安全性・有効性に係る情報公開の拡充に向けた調査事業」。委託先は9月5日に決まる見通し。

 調査では、「整腸」「血糖値」「脂肪」などトクホの保健の用途ごとに、適正な情報公開のための各種項目や表現方法の判定基準も検討する。消費者などに対する情報提供の基となるのは、事業者がトクホ申請時に提出する有効性・安全性に関する資料。どの程度の情報であれば公開できるかについて事業者側の意見も求める方針だ。

 保健の用途の表現方法の判定基準に関しては、消費者と専門家が適正な情報を得ることを前提に、エビデンスに則った表現方法がどこまで許容されるか、あるいは制限されるかなどの判定基準を検討したい考えを示しており、事業者にとって重要なものになりそうだ。トクホなどの広告表現にも影響を及ぼす可能性が考えられる。

 同庁がこの調査を実施する狙いには、消費者委員会が昨年4月に取りまとめた、「健康食品の表示・広告の適正化に向けた対応策と、トクホの制度・運用見直しについての建議」に対応する目的があるとみられる。建議ではトクホについて、製品情報公開の義務化および内容の充実▽関与成分に関する客観的情報の提供▽データベースの機能強化──などを求めていた。

 一方、同庁は調査の目的について、「トクホを自主的かつ合理的に選択するための情報を充実させるためには、情報の発信側と受信側の認識のギャップを埋める努力を双方の立場から連携して行っていくことが求められている」と指摘。ギャップを埋めるため、事業者側の意見を聞きつつ、情報公開の基となる申請資料の公開範囲の拡大を図りたい考えだ。

 また同庁は、現行のトクホ製品情報データベースについて、情報提供媒体として「不十分」だとも指摘。「有効性のメカニズムや、自分の体質・体調に適しているか」といった「消費者が必要としている情報」が掲載されていないためだといい、それによって「消費者が有効性の甲斐なくトクホを利用し続けるばかりか、健康被害の発見が遅れる危険性もある」としている。




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