健食規制強化 厚労省に求める声強く 食衛法改正懇談会(2017.10.5)


 厚生労働省が来年の通常国会に法案提出を目指す改正食品衛生法の方向性などを議論する有識者懇談会の第3回会合が3日あり、先月14日の初回会合に引き続き、健康食品をめぐる発言が目立った。

 安全性を確保するためのGMPの義務化、健康被害に関して明確な因果関係が認められない場合でも流通禁止措置を行える同法7条の適用要件緩和、欧州のノーベルフード(新規食品)制度のような販売前安全性評価の仕組み導入など、規制強化の必要を強く唱える有識者がおり、それに同調した発言をする識者もいて、さながら「健康食品規制懇談会」の様相を呈した。

 懇談会の行政関係者からは、「ほかのテーマが霞んでしまっている」とぼやく声も。実際、この日の会合では、最近も3歳の女の子が死亡した食中毒の対策をめぐる意見よりも、健康食品のほうが多かった。傍聴した業界関係者からは、「日本製の健康食品で死亡事例はないはず」と呆れる声も聞かれる。

 会合は全5回の予定。事務局の厚労省は、年内に報告書を取りまとめる方向にある。

 厚労省は、この日の会合で、健康食品の規制強化を求める識者の発言に対し、ほとんどコメントを返さなかった。「知恵が必要だ」とした懇談会座長の発言を踏まえても、GMPの義務化など、法改正も必要な規制強化には、今のところ消極的とみられる。

 ただ、厚労省は、食品安全上の健康食品の課題として、「事業者の把握、監視指導」(適正な製造管理の強化に向けた実効性ある仕組みの構築)、「危害事例の情報収集・処理体制の充実強化」、「消費者に対する知識の普及啓発」の3つを挙げており、少なくともこの3つは報告書に盛り込まれそうだ。

 一方、厚労省はこの日、同法7条の適用について、法的根拠のない行政指導(事業者への指導等)が機能しなかった場合、7条適用に移行することもあり得るとの解釈を示した。つまりプエラリア・ミリフィカに関する先般の厚労省通知が機能しなかった場合、法的に販売禁止措置を行える7条適用の検討が行われる可能性もあり得る。


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