認知機能対応の新素材 トウゲシバ抽出物 龍泉堂が発売(2017.10.12)


 記憶力など脳の認知機能をサポートする働きが期待できる植物由来の新規原材料を、龍泉堂(東京都豊島区)が4日に新発売した。認知機能改善作用をめぐる臨床研究が米国や中国で盛んで文献も多い、ヒューペルジンAを機能性成分として規格化した抽出物。基原原料は、生薬として中国で伝統的に利用されてきたヒカゲノカズラ科植物のトウゲシバ。1日あたり摂取目安量は、抽出物として5~10㍉㌘と極めて微量だ。100㌘単位から供給する。


有効摂取量 1日5~10㍉㌘
 龍泉堂が4日に新発売したのは、米国のサプリメント原材料メーカーが開発した「コグニアップ」(登録商標)。インド産のトウゲシバからヒューペルジンAを抽出・精製し粉末化したもので、同成分の含有量規格値は1%以上。日本での発売は今回が初で、龍泉堂が開発・製造元の米セファム社から日本での独占販売権を獲得した。

 日本での発売にあたり同社では、安全性試験を改めて実施し、急性毒性試験や変異原性試験で問題のないことを確認。また、機能性表示食品制度への対応も視野に入れており、今後、日本国内で臨床試験などを実施する計画も立てている。

 ヒューペルジンAが認知機能など脳機能に及ぼす効果に関しては、主に米国や中国の研究者が、軽度認知症患者などを被験者にした臨床試験(RCT)に基づく有効性を論文発表しており、その中には、合計被験者数が1800名を超える、計20報の臨床試験論文を対象にしたシステマティック・レビュー論文も存在する。ただ、ほとんどの文献が病者を対象にしたものとみられ、機能性表示食品制度への対応に向けてはこの点がネックになる。

 作用機序に関しては、ドネペジルなど認知症治療薬と同様の、アセチルコリン分解酵素阻害抑制作用が有力視されている。アセチルコリン分解酵素のアセチルコリンエステラーゼの活性を抑制し、それにより脳の働きを活性化すると考えられており、これに関連し、集中力や記憶力、学習能力の向上作用も期待できるとされる。

 龍泉堂によると、ヒューペルジンAに関する一連の文献で報告されている有効摂取量は、1日あたり50~100マイクロ㌘。これを根拠にコグニアップの1日あたり摂取目安量を設定しており、「1日1粒の摂取で有効性が期待できるという点では、当社の主力の『UC‐Ⅱ』(非変性Ⅱ型コラーゲン)とコンセプトがよく似ている。認知機能対応素材は摂取量が少なくない場合も多く、大きな強みになる」と同社の塩島由晃社長は話す。

 また、塩島社長は、「(コグニアップをお披露目する)食品開発展のセミナープログラムが公開された直後に、10件以上のお問い合わせをいただいた。さっそくサンプルを求めてきた企業も複数いらっしゃる。そのような経験は初めてだ」とも語っており、「認知機能対応素材への注目度の高さをはっきり感じる。(コグニアップは)UC‐Ⅱのように大きく成長していくのではないか」とさっそく強い手応えがあるとし、今後の動きに期待を寄せている。


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