広告自主基準、消費者庁は無関係 「機能性」巡り長官発言(2017.11.16)


 健康食品産業協議会らが作成した「『機能性表示食品』適正広告自主基準」について消費者庁の岡村長官は、あくまでも業界が自主的に取りまとめた基準であり、同庁が業界から相談を受けて共同で作成したものではない、などと15日の定例会見で述べた。

 ただ、自主基準が取りまとめられる過程では、同庁にも意見が求められている。あくまで業界自主基準であり、そもそも同庁が承認するような性質のものでないが、業界を突き放したかのような長官の発言は波紋を呼びそうだ。

 専門メディア記者の質問に答えたもの。記者は、機能性表示食品の広告表現をめぐる景品表示法違反で販売会社16社に措置命令が下されたのを受け、産業協議会が団体会員に対し、今後の広告制作については、自主基準などを参考にするよう連絡したことを疑問視したもよう。「研究レビューのグラフを(広告に)使っても構わないかのようなくだりは問題であると、各方面から指摘されてきた経緯がある」などと述べ、その点について同庁の見解を求めた。
 
 自主基準では、研究レビューで届け出た論文からグラフなどのデータを抽出して広告に使用する場合について「引用するグラフ・図が最終製品を用いた試験のデータであると誤認されないように十分配慮する(成分あるいは原料のデータであることの明記)こととともに、その選択理由を明確に記載すること」などとしている。

 この日の会見には同庁表示対策課も出席しており、長官発言を補足。「景品表示法や健康増進法においては特定の文言もしくは表現を禁止しているわけではない」と述べたほか、保健機能食品の広告でグラフを使用することに関しては「『健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項』において注意点を従前から公表しているし、十分注意するよう啓発も行っている」とした。

 留意事項では広告にグラフを使用することについて「直ちに虚偽誇大表示等にあたるものではない」としている。ただし、試験条件を適切に表示しない場合などは虚偽誇大表示にあたるおそれがある。協議会は、自主基準だけでなく留意事項も参考にするよう求めている。

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