消費者庁 届出後分析状況を調査 品質管理の課題など検証へ (2017.11.23)


 消費者庁が機能性表示食品について新たな調査・検証事業に乗り出す。機能性関与成分、安全性担保の必要がある成分について、「届出後」の定量・定性試験実施状況、さらにそのウェブサイト等での「公表状況」を調べる。加えて、健康被害情報の収集・評価に関する具体的な方法、および健康被害情報の同庁への報告手順に関する検討も行う。同庁が20日までに明らかにした。

 調査は、「機能性表示食品の届出後における分析実施および健康被害の情報収集等に関する調査・検証事業」と題して今年度中に外部委託で実施。来年3月末までに報告書を取りまとめる。委託先は来月6日に一般競争入札で決定する。専門知識を持つ複数の識者で構成するワーキンググループを設置させ、ワーキングに具体的な作業を担わせる。

 同庁が公開している事業仕様書によると、同庁は今回の検証事業を通じ、届出商品が継続的に一定の品質を確保しながら生産・製造されているかを確認したい考え。調査対象は今年9月30日までの全届出であり、事実上、販売中の全ての機能性表示食品が対象となる。これにより、機能性表示食品の「品質管理」を巡る届出企業の取組みの具体を明らかにする。

 一方、健康被害情報に関する検証・検討結果は、最終的にガイドライン(GL)に反映させる方針だ。「必要な基礎資料を得ることを目的とする」(仕様書)。

 同庁は昨年度、機能性表示食品として届け出られた安全性評価内容の実体把握に関する調査事業を実施し、先ごろ報告書を公開。この調査結果も踏まえて健康被害情報の報告に関するGLでの具体的な記載を検討するとみられる。先行の同調査事業では、届出者が健康被害情報の報告を行う方法について「具体的な報告基準の策定等に資する情報を取りまとめた」(同)としている。

 一方、機能性関与成分などの届出後分析実施状況に関する調査の目的としては、機能性表示食品制度における「品質管理の課題の整理」「届出後における届出者の必要な取組み」を検討することもある。後者については「食品形態や製造頻度等を考慮した届出後の分析実施モデルの提案」(いずれも仕様書)する狙いもある。

 今回の検証事業ではその一貫として、届出企業による分析実施状況のウェブサイト等への公表実態も明らかにすることになった。

 仕様書によると、それを公表する必要性に関する根拠はGLの記載。現行GLの22ページ目「届出後における分析の実施に係る資料に関する留意点」には、届出食品が「継続して一定の品質を確保し製造・生産されていることを示すため」とし、機能性関与成分、安全性担保の必要がある成分について「届出後に実施される分析方法を届出資料に記載する必要がある」(仕様書)ことに加え、「なお」とした上で、「設定した頻度に従い分析が行われていることについて、届出者はウェブサイト等において公開することが望ましい」(GL)とある。

 届出者が「望ましい」の記載をどう受け止めているかが焦点になりそうだ。任意規定のようなものと捉えていれば、公表している届出企業は僅かにとどまると考えられる。仕様書によると、届出企業が届出後分析実施状況を未公表としている場合は理由を尋ねるという。




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