厚労省 物忘れ改善薬 で事務連絡 適正広告求める (2017.11.23)


 厚生労働省は10月31日、今春から市販され、需要が拡大している「中年期以降の物忘れ改善薬」(オンジ製剤、第3類医薬品)の広告表現に関する事務連絡を全国の都道府県などに発出した。消費者に認知症の治療・予防向けの医薬品と誤認されやすいため、事務連絡では、承認された効能の範囲を超えた広告、暗示を厳に慎むことなどを求めている。

 オンジ抽出エキス(イトヒメハギの根を乾燥させた生薬)を配合した物忘れ改善薬は、2015年に厚生労働省が「単味生薬のエキス製剤に係る製造販売承認のガイダンス」を作成したことを契機に、第3類医薬品として商品化の動きが活発化し、今年4月からドラッグストア(DgS)などを中心に相次いで市場投入が始まっている。

 業界関係者によると、国に認可された医薬品であり効能が謳えること、高齢者層のニーズにマッチしていること、郊外型DgSの増加で消費者が購入しやすくなっていることなどを背景に、オンジ製剤の需要は好調が続いているようだ。

 許可された効能は、あくまで加齢による正常な物忘れ(厚労省規定)であり、オンジ抽出エキスを含有する一般用医薬品として許可された漢方製剤の「健忘」の効能と変わらないが、消費者には認知症の治療・予防に効果があると誤認されやすい可能性もある。

 このため厚労省では、都道府県への事務連絡で、関係企業に対して、医薬品等適正広告基準を踏まえて、承認された効能範囲を超える暗示を厳に慎むこと、認知症の治療・予防医薬品ではないことを記載・標ぼうすることの2点を求めた。

 機能性表示食品制度の導入を背景に、一般用医薬品の規制緩和やスイッチOTC医薬品の拡大などが活発化しており、市場では「健康」をキーワードに、食品と医薬品の競争が激化しつつある。



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