ノビレチン 研究会が第1回学術集会 (2017.12.7)


 今年1月設立の「ノビレチン研究会」(矢澤一良会長、事務局・中部大学応用生物学部内)は先月25日、第1回学術集会を都内で開催した。ノビレチンは、シークヮーサーやポンカンに代表される柑橘類の果皮に多く含まれるポリメトキシフラボノイドの一種。この日の集会では、ノビレチンには脂質代謝改善作用から筋量・筋質の改善作用まで多様な機能性を備える可能性が研究者から報告された。

 この日の学術集会では、ノビレチンを機能性関与成分にした機能性表示食品の届出を目指す動きも紹介された。同成分は温州ミカン果皮にも含まれており、同果皮配合ヨーグルトで届出を目指す取組みが愛媛県で進んでいるという。このヨーグルトの機能性としては、臨床試験等でアレルギーの改善が確認されていると伝えられた。

 ノビレチンには、脳機能に対する働きも期待して良いようだ。講演した東北大学大学院薬学研究科の山國徹氏は、動物試験などの成果として、ノビレチン高含有柑橘果皮の抗認知症作用について報告。ノビレチン単体の経口投与では脳移行性は著しく低かった一方で、同果皮に含まれるシネンセチンなど別の化合物と協働することで、「ノビレチン単体の活性を凌駕」機能性が示唆するという。

 筋量・筋質の改善作用については東京湾岸リハビリテーション病院の補永薫氏が報告。ノビレチン含有シークヮーサー抽出物には筋委縮作用が最近報告されているため、その骨格筋への作用を検証する目的で脳卒中患者を被験者にしたランダム化二重盲検試験を実施したところ、継続摂取によって下肢骨格筋量の増加、その質の向上に寄与する可能性が示唆されたという。補永氏は「リハビリテーション領域での有効性が示唆された」と述べた。

 「ノビレチンの研究は以前から行われており、その数も多い。ただ、これまであまり表に出てこなかった」と矢澤会長は話す。実際、この日はノビレチンやノビレチン高純度粉末について、抗糖尿病作用や抗肥満作用、排尿障害改善作用が示唆されることも報告され、聴講した業界関係者に対し、非常に幅広い機能性を持つことを印象付けたといえる。

 「ノビレチンのようなポリメトキシフラボノイドは黒ウコン(黒ショウガ)にも多く含まれることで知られる。そうした関連素材も取り込みながら、研究会の規模を今後拡大していきたい」と矢澤会長は話している。


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