機能性表示食品 GL改正、年末と年度末  糖質・糖類の取扱い焦点(2017.12.21)


 消費者庁は機能性表示食品のガイドライン(GL)一部改正を年内と今年度末の2度にわたり実施する。今年6月に閣議決定された規制改革実施計画などを受けたもの。この2回の改正で注目されるのは、昨年の検討会で制度対象に加えることが決まった、糖質・糖類、エキス類に関する届出指針が盛り込まれるかどうか。糖質・糖類は年度末の改正で反映される見通しだが、エキス類に関しては見合わせる可能性がある。

 前回のGL一部改正は制定1年後の昨年3月31日。矢継ぎ早の改正となり、届出企業には対応が求められる。同庁は今月末までに改正GLを取りまとめて公表する構え。その上でさらに年度末にも改正を行う。

 今月末のGL改正では、同庁が昨年度実施した、機能性表示食品の事後検証・調査事業結果を反映させる。届出資料の質を高める方策などを検討することを目的に、「臨床試験及び安全性の評価内容の実態把握」について検証していた。調査報告書は今年10月に公表済み。論文投稿先などに関する一定の指針などが新たに盛り込まれそうだ。

 また、GLの分かりにくい部分の見直しも行う。これは規制改革実施計画に対応したもの。同庁は「事業者から問合せの多い事項などを反映するなど、GLを分かりやすく見直す」よう実施計画で求められていた。すでに考え方を公表済みだが、18~19歳の未成年被験者データも届出可能である旨を追記するなどの改正を行う。

 一方、今年度末の一部改正も、規制改革実施計画に応じたものとなる。届出書類の簡素化が求められており、同庁は今年9月、事業者が届出資料に入力する必要のある項目数(同庁調べで200項目余り)を2割削減する目標を公表。これに対応したGLの一部改正を実施し、別紙様式を一部減らすなどして改善を図ることになる。

 加えて、規制改革実施計画では、「生鮮食品の制度活用促進」も、同庁ほか農林水産省に対して要求していた。現在、関係者からのヒアリングや規制改革推進会議の専門チームによる検討が進められており、来年1月中にも活用促進に向けた施策概要が固まるとの見方もある。それも年度末のGL改正に反映される可能性がある。

 こうした今後相次ぐことになるGLの一部改正の動きの中で、糖質・糖類、エキス類の届出指針が追記、公開されるのはどのタイミングになるのだろうか。

 糖質・糖類の届出指針はほぼ固まっているといわれる。また、糖質・糖類に関しては届出データベースの修正が必要ない模様。そのため、年末の改正に十分間に合い、改正GLの施行と同時に糖質・糖類を加えた制度運用を開始できると考えられる。ただ、業界団体関係者は「最近になって年末は難しいとの話が聞かれている」と話す。

エキス類は来年度か 届出DBの改修必要
 すると、エキス類とともに今年度末のGL改正に合わせるのか。しかし、糖質・糖類と比べて「複雑系」のエキス類は検討すべき要件が多いこともあり、ガイドライン策定作業の進捗が「進んではいるが、芳しくない」(前述とは別の業界団体関係者)とされる。

 そのためか、同庁食品表示企画課長は今年9月に行った講演で、糖質・糖類とエキス類をそれぞれ切り分ける形で制度運用を始める可能性が視野にあることを示唆。糖質・糖類は年度末の改正に合わせたとしても、エキス類の指針追加は来年度以降の改正にずれ込む可能性がある。

 そもそも、エキス類を正式に制度対象に加えることで別紙様式の増加が確実視されており、それに応じた届出データベースの改修が制度運用を始めるためには必須となる。ただ、同庁は改修費用として来年度の予算概算要求で2700万円を計上しており、いずれにしても、改修できるのは来年度。そのため、エキス類の届出指針を追記した改正GLを年度末に公表したとしても、実際の運用は始められない。

 「機能性関与成分の取扱い等に関する検討会」の報告書がまとまってから1年が経とうとしている。糖質・糖類に関してはほぼまとまっていると言われるだけに、せめて糖類・糖質だけでも年末のGL改正に反映されなければ、業界から疑問の声が上がりそうだ。

 一方で、エキス類に関しては、「拙速にやると企業が使えないガイドラインになりかねない」との意見があり、品質管理面も含めて慎重な検討を進める同庁に理解を示す声も聞かれる。

 ただ、そのように話す業界団体関係者にしても、「運用を始められないとしても、年度末までに公表して欲しい」と話す。エキス類のGLは既存届出にも遡及する形で影響を及ぼす可能性もあり、特に原材料事業者はGLの中身を注視している。「GLを確認してから今後(の研究計画など)を決める」と話す事業者も一定数存在しており、早い段階での公表が求められる。



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