甲陽ケミカル グルコサミンで新SR (2017.12.21)


 グルコサミン(塩酸塩)を1日1500㍉㌘継続摂取することに伴う関節軟骨の維持作用について、原料大手の甲陽ケミカルが新たな研究レビューを実施し、機能性表示食品の届出サポートを行える体制を改めて整えた。同社を届出者とする形で消費者庁に届出書類の提出も済ませている。グルコサミンの機能性表示食品を巡っては、届出撤回が相次いでいたが、同社の新研究レビューが状況を好転させることができるかどうか、今後の動向が注目されそうだ。

届出表示、以前と同じ
 甲陽ケミカルは今年5月末、同社が届け出ていたグルコサミン機能性表示食品2品について、機能性関与成分の名称変更(グルコサミンからグルコサミン塩酸塩に)を理由に撤回していた。同2品の科学的根拠とした研究レビューについても同社が実施しており、それを活用する形で届出を行っていた企業も複数社が撤回。そのため、新規届出の準備を進めていた。

 同社によると、新たな研究レビューに基づく届出表示は撤回前と原則同一で、「運動や歩行などにおける軟骨成分の過剰な分解を抑えることで関節軟骨の維持に役立つことが報告されています」というもの。ただ、新たな研究レビューで採択した文献に基づき、「スポーツ時の関節の健康が気になる方に適しています」などといった文言を加えることも可能と考えられるという。「新たな機能性表示食品として売り出していけると思う」とも話している。

 同社が新たに実施した研究レビューは、撤回した届出の研究レビューで採択していた文献2報のうち1報(RCT論文)の被験者を、軟骨・骨代謝マーカーを指標に層別解析した査読付き論文を採択したもの。層別解析を行い、論文をまとめたのは、原著論文を執筆した順天堂大学の百村励氏ら。論文は先月発刊の学術誌「薬理と治療」に、「自転車競技選手の軟骨代謝に及ぼすグルコサミンの効果─軟骨・骨代謝マーカーを用いた層別解析─」のタイトルで掲載されている。

 甲陽ケミカルによると、層別解析の結果、グルコサミンを1日あたり1500㍉㌘摂取した群は、プラセボ群と比べて軟骨代謝マーカー(CTX‐Ⅱ)の有意な低下が認められたという。

 「新規届出の準備が整うまでに半年近くの時間が掛かってしまったことにはお詫びするほかない。撤回した全ての企業に対して改めて届出サポートをさせてもらいたいと思う。原料メーカーとして、グルコサミン市場の健全な拡大に貢献したい」。同社ではこう話している。


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