膨化紅参 日本でも最終製品化 特殊処理で有効成分増加(2014.1.9)


 特許製法により圧力と温度を加えることで、高麗人参(紅参)に特有の有効成分「ジンセノサイド」の含有量を高めると同時に、人参に独特の苦みや匂いを改善させたという韓国発の差別化紅参原料「膨化紅参」。しばらく前から日本でも市場提案が進められていた素材だが、ここにきて配合製品の市場投入が決定した。

 これを受け、同素材を日本で取り扱う兼松ケミカルとヘルシーナビが改めて積極提案に乗り出しており、「膨化紅参抽出エキス(液体)」、「同・抽出エキス末」および膨化紅参粉砕品(粉末)の3製品を提案している。「ようやくといった感もあるが、まずはクローズドマーケットからパフ化紅参の市場優位性が理解され始めた」とヘルシーナビの井上俊忠社長。

 膨化紅参を製造するのは韓国の高麗人参原料専業メーカーのグリーンバイオ社。特許製法の膨化(パフ化)技術を加えた高麗人参原料に特化して製造している企業で、2001年に設立。同社の韓国側販売代理店を務める機能性食品コンサルティング会社ニュートリプランのカン・ナムギル社長によれば、「(需要拡大を受けて)最近、新工場を竣工させた。原材料も韓国国内の契約農家から調達しているため安定供給できる」という。

 韓国の健康機能食品市場の12年市場規模は生産額ベースで約1兆4000億ウォン(約1400億円)。このうち、最も売れているのは紅参製品で、およそ半数の約46%(6484億ウォン)を占める。企業別順位を見ても、紅参製品「正官庄」を製造販売する韓国人参公社の12年生産額は4744億ウォンと、健康機能食品法が制定された04年以降、連続1位を堅持している。

 一方、「ここ数年で正官庄以外の紅参製品もすごく伸びた。だからグリーンバイオも工場を新設した。安定供給に対応するためだ」とカン社長。実際、紅参製品の市場規模推移を見ると、08年に4184億ウォンだったのが11年には7191億ウォンと、4年で約72%も伸張した。

 カン氏によれば、市場拡大の背景には、韓国で紅参の製造販売が自由化され、「正官庄」の差別化製品が多く出てきたことがある。膨化紅参もそのひとつで、通常の紅参を膨化処理することでジンセノサイドの含有量が最大2倍以上に高まるほか、ポリフェノール含量も増えたり、逆に、紅参特有の風味にかかわる香気成分が大きく減少したりといった、「正官庄」にはない特徴を訴求しながら需要を増やしていった。「テルペン類が増えるため風味は非常に良い」(井上社長)。

 現在、韓国で紅参は告示型原料として①免疫機能②疲労改善③血行改善④認知機能に関する機能性表示が許可されており、膨化紅参も韓国では同様に表示することができる。カン氏によれば、「告示型では規格基準が定められており、紅参ではジンセノサイドの1日当たり摂取量について、Rb1、Rg1、Rg3の合計が2.4~80㍉㌘と規定されている」

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