プエラリア窮地に 定量分析実施はゼロ (2018.2.22)


 プエラリア・ミリフィカ(プエラリア)が窮地に立たされている。昨年7月、国民生活センターの注意喚起をきっかけに突如立ち上がった安全性問題以降、プエラリアを含む健康食品の販売を継続する意向を厚生労働省に示した企業が半数近く存在する一方で、含有するミロエストロールやデオキシミロエストロールといった女性ホルモン様作用を持つ活性成分の定量分析に対応できた企業は、少なくとも昨年11月末までに存在しなかった。厚労省では、これに対応できなければ販売中止を指導する方針。

 国民生活センターの注意喚起を受け、プエラリア含有健康食品について、昨年9月に製造管理や健康被害情報の収集などに関する改善計画書の提出を関係企業に求めていた厚生労働省は9日、報告された改善計画の取りまとめを公表した。

 それによると、自治体を通じて監視指導を実施した製品数は、昨年11月末までに86品(57販売者、32製造者)。そのうち、製造・販売を「継続する意向」のある製品は43製品と半数にのぼった。

 一方で、継続意向が示された43製品のうち、活性成分の定量分析に対応したと報告したのはゼロ件。もともとミロエストロールやデオキシミロエストロールの定量分析は日本国内では困難とみられていたが、その現実が浮き彫りになった格好だ。

 ただ、対応件数がゼロ件だったのは、あくまでも昨年11月末までの話。実際には大半が「『今後対応する』と報告しているのではないか。そうでなければ(製造販売を)継続するとは答えられないはずだ」とプエラリアに詳しい業界関係者は推測する。

 しかし、今後についても楽観視できる状況にはない。前述とは別の関係者は今月、「現在、特定成分の定量分析を依頼しているところだが、期限の3月15日までの提出に間に合うかはなんともいえない」と現状を説明。厚労省が求める期日までに定量分析実施が改善実施報告書に記載できるか困難な状況を吐露している。

改善実施不十分は「販売中止」に
 厚労省は9日、改善計画の取りまとめを公表すると同時に各都道府県など各自治体に新たな通知を発出。改善計画の実施状況を3月15日までに提出するよう求めるとともに、改善が不十分な場合は指導するよう要請した。本件を担当する厚労省・食品基準審査課は、改善実施が不十分な場合は、「昨年9月の通知で出しているように販売中止を求めることになる」という。

 なお、改善計画の取りまとめによると、「継続しない意向」も43製品。その理由の内訳をみると、「製造・販売中止済み」が27製品、「(原材料からプエラリア・ミリフィカを除く)製品リニューアル済み」が10製品、「製造・販売中止予定」が6製品だったという。

 また、消費者への情報提供については、「健康被害の発生が知られていることについて情報提供する」が13品、「摂取を控えるべき例を情報提供する」が14品など、厚労省が求める「消費者に対して製品の安全性に関する情報を提供すること」に対して対応の低さが目立った。


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