機能性関与成分検証報告書の開示求め国を提訴 元主婦連の佐野氏ら 
(2018.3.5)


 消費者庁が2015年度に実施した機能性関与成分に関する検証事業報告書の開示を求める訴訟を、消費者団体「主婦連合会」前事務局長の佐野真理子氏が2月27日、東京地裁に起こした。


 同庁は、これまでに機能性表示食品の検証事業を複数のテーマで行い、報告書を公開してきた。一方、制度施行以来毎年度実施している機能性関与成分に関する検証事業に関しては現在のところ非公開。個別の商品名などは伏せる形で、検証結果の概要のみ明かしている。


 佐野氏は今回、国を相手取り、個人として情報公開請求訴訟を起こした。ただ、市民団体「食の安全・監視市民委員会」代表の神山美智子氏ら弁護士3名が代理人に就いている。同報告書のうち、「機能性表示食品の名称」「機能性関与成分の名称」「検証結果」「考察内容」「問題点」──の情報開示をめぐり国と争う構え。


 消費者庁は、機能性関与成分検証事業を通じて機能性関与成分の分析方法を検証したり、買上調査を行ったりしている。買上調査では、市販商品中の機能性関与成分量を第三者機関で分析し、表示値の妥当性を評価している。


 15年度の同事業で行われた買上調査では、同庁によると、15年4月1日から9月末までに届け出られた17製品を調べたところ、機能性関与成分の含有量が表示値を下回っていたり、逆に、過剰に含まれていたりなど、品質管理上の問題点が見つかった。佐野氏らは、問題が見つかった商品の名称や機能性関与成分名を詳らかにしたい考えとみられる。


 ただ、同庁は昨年、「分析方法について資料を求め、再検証を行った結果、品質管理上の問題点が見付かった全てについて、問題がないことが確認された」とも説明している。この再検証結果に関する記載は同報告書にはないと考えられ、公開されれば、消費者の誤解や憶測を招く可能性がある。


 佐野氏は16年10月、消費者庁に対して同報告書の情報開示請求を行っていた。これを受け、同庁は一部開示を決定したが、佐野氏はこれを不服とし、昨年2月、全面開示を求めて総務省に審査請求を申し立てした。だが、審査会は同庁の判断を支持。これも不服として提訴に踏み切ったようだ。



Clip to Evernote

ページトップ