規制改革WG議事録 食品形状問わない考え示す (2018.3.8)


 規制改革推進室がこのほど公開した規制改革推進会議「医療・介護ワーキング・グループ」(以下WG)の議事録(1月30日開催分)によれば、機能性表示食品制度に絡んだ食薬区分(46通知)の運用見直しについて厚生労働省と消費者庁は、専ら医薬品リストに掲載されている成分を機能性関与成分とする食品が届け出られても、医薬品とは見なさない場合の要件について、食品の形状は問わないとする前向きな考えを示した。消費者庁は、「サプリメントも含む」と述べたと記されている。

加工度合いが焦点に
 議事録は、WGが今期主要審議事項の一つに決めた食薬区分の運用見直しに関し、昨年11月に続く2回目の会合の模様を記録したもの。前回の会合で厚労省は、運用を見直す方針を示していた。会合は非公開。

 議事録によると、この日は食薬区分の運用を所管する厚生労働省監視指導・麻薬対策課長と、機能性表示食品制度を所管する消費者庁食品表示企画課長が前回に引き続き揃って出席し、委員らに運用見直しをめぐる具体的な対応策を説明。それに対してWG委員は、「大分規制を変えるという方向で大変うれしい」、「合理的かつ納得的な回答が得られたと思う」との反応を示した。

 サプリメントについて消費者庁は、「概念的には加工食品、ゆえんをたどると必ず生鮮食品、具体的には野菜なり、肉なり、果物なりから作ったもの」との考えを述べた。そのうえで、医薬品医療機器等法に基づく医薬品とは見なさない場合の要件である別掲図表の②のうち「上記の生鮮食料品を調理又は加工して製造した食品」について、「概念的にはサプリメントも含むとご理解いただければ」と説明した。

 ただし、「加工度が高くなればなるほど要件は厳しくなる」との考えも述べたことが記されている。
 両省庁がこの日の会合で示した、『専ら医』を機能性関与成分にした機能性表示食品を医薬品と見なさない場合の確認スキームによれば、前述の「上記の生鮮食料品を調理又は加工して製造した食品」にはただし書きとして、「製造工程において当該成分を抽出又は濃縮している場合や、食品由来でない当該成分を添加している場合」は、「この限りではない」ことが付記されている。

 議事録によると、これらの場合について厚労省は、「かなり成分を抽出したり濃縮したり、また、当該成分であっても、食品由来でない成分を添加しているような場合」と補足。「意図的に抽出、濃縮をかけているようなものを想定している」とも説明している。

 この説明に対して委員は「どういう場合を言うのかいま一つ分からない」、「例えばこういうものは駄目だと具体的に例示いただくと分かりやすい」と指摘した。

 それに対して厚労省は、「個別にいろいろ見たときに、どこまでどうなのかという判断は、現実問題としていろいろある」とし、判断がつかない場合に消費者庁から厚労省に照会、厚労省が回答する確認スキームに基づき、「個別の問題にも適切に対応していきたい。個別の内容をよく見て常識的な判断をしてきたい」と答え、実際の届出内容を見ながら、個別対応で確認していく考えを示した。

Q&A、「業界と協議」
 両省庁がこの日示した確認スキームの措置は、両省庁がそれぞれ関係するQ&Aを発出することで行う。

 議事録によると、Q&Aの作成について厚労省は、「事業者の方々と納得ずくでやりたい」とし、「不明確なところがなるべくないようにするという観点」から、事業者と十分協議したうえでQ&Aを発出すると説明した。

 厚労省はまた、判断基準や判断結果をQ&Aに盛り込み、開示するのかを委員から問われ、成分個別の判断結果を全て盛り込むようなことをすれば、「業界的にはマイナスになる場合もあり得るという議論もある」と指摘し、「多くの事業者が迷うようなこと、ほぼ共通する内容は入れ込むことが大事だ」と答えた。また、Q&Aに何を盛り込み、何を盛り込まないのかについても「事業者の方々と協議し、納得ずくで作っていきたいと思う」とした。

 一方、消費者庁による照会から厚労省の回答までに掛かる「標準処理期間」について問われた厚労省は、「ケース・バイ・ケース」と回答するにとどめた。他方で、Q&Aの発出時期については「当然速やかにやりたい」と答えたことが記されている。

 このほか、食薬区分リストそのものを整理する必要性に関しても議論が一部及んだ。委員は、「(46通知の)別添2(専ら医薬品リスト)も少し(別添)3(専ら非医薬品リスト)に移すなどの形で、定期的にやっていく必要があるのではないか」と指摘。それに対して厚労省は、「業界に聞くと、具体的にこれをトライしてみたいという成分がいくつかあるようだ。事業者の要望があるような成分に関しては、それを優先的に整理していきたいと思っている」などと応じた。

 昨年11月6日に行われた前回の会合で厚労省は、議事録によると、食薬区分の運用見直しを要望した業界団体の話を受け、これまでの食薬区分の運用について、次のように述べたという。

 「私どもがきちんといろいろなお話合いができていないということを痛感した。業界とのコミュニケーションをどのようにもっと取っていけばいいのか。そういうことをすることで、実はいろいろな問題が解決するのではないかとも思う。そこはお伺いしていて、一番反省の点」。

Clip to Evernote

ページトップ