JADA 反ドーピング認証、今秋で取り止めか(2018.3.22)


 日本アンチ・ドーピング機構(JADA)の食品・サプリメント分野のアンチ・ドーピング認証(JADAマーク)が、今年中にも廃止される可能性が出てきた。JADAでは昨年9月に「サプリメント認証制度検証有識者会議」(座長・境田正樹弁護士)を設置し、認証制度のあり方を議論しているが、今月中にもまとめる見通し。JADAは認証業務をとり止め、新たに設置する第三者委員会がガイドラインを策定し、これに基づく民間認証体制を構築する案が浮上しているようだ。

 JADAの有識者会議は当初2月末の報告書とりまとめを予定したが、ガイドライン案が浮上したことで、4月以降も会議を継続する模様だ。

 JADAが認証を取り止める背景には、海外ではほとんどのアンチ・ドーピング機関自身が食品・サプリメントの認証業務を行っていないことがある。

 これはWADA(世界アンチ・ドーピング機構)が示した原則に基づくもので、食品・サプリメントの認証は、民間の第三者認証企業が実施している。日本ではドーピング違反が少なかったことなどから、JADAが認証業務を行ってきた。

 このため有識者会議では、2020年東京オリンピックを背景に、国際スタンダードに合わせるため、JADAの認証業務を取り止め、民間ベースに移行することを提言する模様だ。

 ただ、民間認証のクオリティを確保するため、第三者委員会を設置し、ガイドラインを策定することも提言に盛り込む見通し。各認証企業に対して、ガイドラインに準じた認証業務を行うよう求めていく。有識者会議では、すでに中身の議論が始まっているようだ。ガイドラインは欧米の第三者認証企業の水準に近いものとなる可能性がある。

 一方、味の素、大塚製薬、明治、リアルスタイルの4社がJADAマークを現在取得しているが、これら各社の移行措置が一つの課題になるとの見方もある。

 ドーピング問題に関しては、超党派の議員連盟によるアンチ・ドーピング法案が、今期国会に提出される見込み。同法案で規定されている文部科学省の取り組みに関連して、前述のガイドラインの位置付けを同法案に基づくものにすることも検討されているようだ。法案で位置付けられる場合は、食品・サプリメントに起因したドーピング違反が起きた場合、選手だけでなく、事業者にも責任が求められる可能性もある。

 同法案の施行時期は2020年東京五輪の関係から、今秋となる可能性があり、このためガイドラインを施行時期に合わせて導入するとの見方もある。

 ただ、ガイドラインの水準を欧米の民間認証機関並みとした場合、追随できない食品事業者も想定されるため、今後の議論となるとの観測も出ている。


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