消費者庁 軽症者データ 取扱いで調査事業 (2018.4.12)


 機能性表示食品制度での軽症者データの取り扱い方法などを検証する委託調査事業を、消費者庁が今年度の1年間を掛けて実施する。疾病に罹患していない人を対象とする同制度では現在、一部例外はあるが、機能性の科学的根拠に軽症者データの使用を認めていない。調査事業ではまず、アレルギー、尿酸、認知機能の3領域について検討を行う。ただ、事業の受注者が検討領域の拡大が必要と判断すれば、他の領域を加える可能性もある。

 現行制度でも特定保健用食品制度に準じる形で軽症者データの使用が一部認められている。だが、コレステロールや血圧など7項目に限られることもあり、昨年6月に閣議決定された規制改革実施計画では、軽症者データの取り扱い範囲の拡大を消費者庁に要求。7項目以外の利用も可能とすることを検討し、使用可能なデータの境界域を公表するよう求めていた。

 アレルギー、尿酸、認知機能の3領域は、規制改革実施計画が軽症者データの取り扱い範囲拡大の〝例〟として示していたもの。今回の調査事業では、まずは同3領域について調査・検討するが、受注者に設置を命じる有識者検討会が必要性を判断すれば、同庁では「領域を追加することは妨げない」としている。

 受注者は一般競争入札で決める。入札・開札は今月17日が予定されており、関係者によれば、複数者が入札に向けて動いている。ただ、事業仕様書によれば、受注者には「医学、薬学、栄養学、生化学、食品学いずれかの分野での調査研究の受託実績」があること、「機能性表示食品制度に関連する情報について医学・栄養学・公衆衛生学の見地から熟知」していること──などが条件として求められる。また、調査対象領域を専門とする医師を有識者検討会やワーキンググループに参画させる必要もある。

 受注可能な先は限定的とみられるが、調査対象が3領域以外にも広がるかどうかは受注者次第と言えそうだ。いずれにしても、軽症者データの使用可能領域が現状よりも広がれば、届け出る機能性の科学的根拠の強化・拡充やヘルスクレームの広がりが期待できる。

 一方で、軽症者データの使用は消費者の誤認を招く可能性もゼロとは言えず、消費者団体からの反発を呼びそうだ。医師など医療従事者からの反発を受ける可能性もあり、軽症者データの取り扱い範囲を拡大するには、医療界からの納得を得る必要もある。調査事業の受注者と消費者庁には、日本医師会などとの折衝も求められる。

 同庁は、受注者に来年3月29日までに報告書を提出させる方針。一方、規制改革実施計画では、今年度中の結論・実施を求めている。


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