17年の電子商取引 中国越境ECが25%増 健食も着実に拡大
(2018.5.10)


 経済産業省は4月25日、「平成29年度電子商取引に関する市場調査」を発表した。健康食品についても触れ、「「BtoC‐ECによる売上が着実に拡大している」とし、「健康食品のメインユーザーである高齢者が、ネット購入に移行している」ことが要因だと分析した。また、中国の消費者が越境ECによって日本から購入する額は、前年比25.2%増の1兆2978億円と2017年も2桁台の高い伸びを示した。

 発表によると、2017年の日本国内のBtoC‐EC市場規模は、前年比9.1%増の16兆5054億円となり、うち物販系の市場規模は、同7.5%増の8兆6008億円に達した。一方、サービス系市場規模は5兆9568億円(11.3%増)、デジタル系市場規模も1兆9478億円(9.5%増)と伸びており、この二つを合わせると市場全体の半分を占める比率に拡大している。

 物販系市場の商品別では、トップがアパレル、2位が食品(飲料、酒類含む)、3位が電気機器関連と順位は変わっていない。食品の市場規模は7.4%増の1兆5579億円で、生鮮食品などを扱うネットスーパーや栄養バランスに配慮したミールキットなどが市場拡大を牽引しているとした。

 また、特に健康食品についても触れ、「BtoC‐ECによる売上が着実に拡大している」と分析。その要因のひとつとして、「健康食品のメインユーザーである高齢者が、テレビ通販やカタログ通販等から徐々にネット購入に移行している」ことを挙げた。

 他方で、ダイエットや美容の効用を目的とした健康食品も売上が増加していると分析しつつも、「2017年は『ダイエット』『美容』といった効果を謳う機能性表示食品に対し、初の行政処分が下された」とし、「細心の注意をもって消費者に対する情報提供を心がけることが商品提供側に求められる」と指摘している。

 この指摘のうち「美容」に関しては事実誤認といえる。BtoC‐ECにおける健康食品の売上拡大は続いているが、その具体的な市場規模は、この調査では踏み込んでいない。

 他方、健康食品業界にとって、今後の有望市場とされる中国の消費者による日本からの越境EC購入額(BtoC)は、17年は前年比25.2%増の1兆2978億円と今回も2桁台の伸びを記録した。

 日本からの購入商品の種類別(アンケート調査)では、トップが化粧品で、以下は日用品、食品、アパレル、ベビー用品、医薬品の順となっている。

 また、調査報告では昨年11月11日の中国「独身の日」でのネット通販についても分析しており、アリババと京東グループの大手2社ECサイトだけで、1日の売上が5兆円を超えたとした。この中でシェア首位のアリババは、前年同日比39.9%増の2兆8700億円を売り上げたとした。

 「独身の日」における国別商品の売上では、17年も前年同様に日本がトップとなり、商品別では化粧品が88.9億円、食品・健康食品12.8億円などとなっている。調査では「日本製のおむつ、化粧品や食品・健康食品が売上を伸ばしている」と分析している。

 中国越境ECに係る中国当局の関税政策については、昨年9月、「越境EC税制」(16年4月導入)の適用を18年末まで猶予することが決定されたとしつつ、「税制は事前予告なく変更されることもあり得る」と注意を促している。


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