アグアヘ、女性向け新素材 プエラリア代替需要狙う (2018.5.10)


 マイルドな女性ホルモン様活性を持つ植物エストロゲンを規格成分にした植物抽出物をオリザ油化が開発した。ペルーなどのアマゾン川流域で栽培され、ジュースなどに加工されるオオミテングヤシの果実「アグアヘ」を原料にしたもの。強い女性ホルモン様作用を持つ成分を含む一方で日本国内では定量分析が難しいプエラリア・ミリフィカなどからの置き換え需要の取り込みを図る。

 新たに開発したのは「アグアヘエキス」。オイルタイプのほか粉末タイプ、水溶性乳化液の3製品を揃え、16日から都内で開催される展示会「ifia/HFE2018」に出展し、提案を始める。

 規格成分は「レスペフロリンG8」(G8)というアグアヘ由来プテロカルパン類。アグアヘに含まれるエストロゲン活性成分であることを、同社がおよそ2年の成分研究を経て発見した。アグアヘの摂取によって豊胸作用があるといわれるが、これまで女性ホルモン様作用を示す成分本体は分かっていなかったという。

 G8のエストロゲン活性の強さについては、同社がエストロゲン依存性増殖細胞の増殖を指標に調べたところ、大豆イソフラボン中の植物エストロゲンとして知られるダイゼインと比べて10分の1程度、同じくイソフラボン中のゲニステインとの比較では125分の1程度だった。

 また、同社がG8と同時にアグアへ中の女性ホルモン様成分であることを突き止めた8‐ヒドロキシホモプテロカルパンについても、エストロゲン活性の強さはG8と同等だったといい、同社は両成分について「副作用リスクの極めて低い植物エストロゲンだと考えられる」としている。

 一方、アグアヘエキスの1日あたり有効摂取目安量は100㍉㌘と考えられる。同社が社内女性ボランティアを対象に実施した臨床試験の結果、その量を4週間継続摂取することで、摂取前後比較で健康関連QOLアンケート(SF‐36)の有意な改善が認められた。具体的には、アンケート項目のうち「身体の痛み」「活力」「社会生活機能」「精神的側面のQOL」が改善したという。

イサダオイルも開発 新規抗肥満成分を規格
 オリザ油化は新製品として新規抗肥満成分8‐HEPEを規格化した「イサダオイル」も新たに開発、16日からの展示会で提案を始める。日本国産オキアミとしても知られるツノナシオキアミ、別名「イサダ」を原料としたもので、8‐HEPEの含有を特長とする日本国産クリルオイルとして海外市場にも打ち出す。

 8‐HEPE(8‐ヒドロキシエイコサペンタエン酸)は、脂肪燃焼や糖の取り込み促進に関与する受容体(PPARαなどペルオキシソーム増殖因子活性化受容体)を活性化させる抗肥満成分として、岩手生物工学研究センターの山田秀俊氏らがイサダから特定した成分。オキアミに特徴的に含まれる成分だが、特にイサダでの含有量が多いことが分かっている。同センターの調べによると、南極オキアミの約2倍含まれている。

 オリザ油化が新たに開発したイサダオイルは、8‐HEPE含量を0.15%以上で規格化したもの。そのほかに8‐HEPEを規格したイサダオイル粉末も投入する。今後、8‐HEPEの生理活性に関するエビデンスの拡充も図りながら、市場への普及を進めたい考え。




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