伊藤忠と中国百洋医薬が包括提携 国産健康製品を中国に (2018.5.24)


 伊藤忠商事は11日、中国の百洋医薬集団(青島市)との間に、医薬・健康産業関連分野で包括提携の基本合意書を締結したと発表した。伊藤忠商事は百洋医薬を通じて、日本の医薬品ほか、健康食品、機能性化粧品などを中国市場で展開する方針。リテール事業に力を入れる伊藤忠商事では、CPグループやCITICとの提携を通じて、主に中国の食品市場への進出に取り組んでいるが、今回の包括提携を通じて、中国のヘルスケア市場にも本格進出する方針だ。

 百洋医薬集団は、2005年設立の総合医薬・健康企業グループで、医薬品の開発・販売ほか、輸入OTC医薬品、健康食品などの販売も手掛ける。約1万の病院・薬局と取引しており、医療・医薬品情報のプラットフォームやデータベース、人工知能(AI)による診断支援システムなどの医療・健康サービス事業も展開している。

 一方、伊藤忠商事の中国での医薬品事業は、子会社のアルフレッサHDとの合弁企業である日美健薬品を通じて、医薬品卸・販売事業などを展開している。

 今回の包括提携内容は、①日本の一般用医薬品、機能性化粧品、健康食品などの中国市場での展開②同医療用医薬品③日本のパーソナルヘルスケア製品の中国での販売④先端医療技術・サービスの新規事業││など。両社は提携事業の第1弾として、百洋医薬の子会社である青島百洋医薬が、日美健薬が発行する第三者割当増資を引き受け、同社に資本参加する。

 伊藤忠商事では、今回の包括提携を通じて、日本の保健機能食品の中国市場への本格展開にも取り組む考えで、「中国の規制に適合することが前提だが、健康ニーズが年々高まる中国市場において、日本の特定保健用食品、機能性表示食品などの保健機能食品は、潜在的ニーズが高いとみている」(同社エネルギー・化学品カンパニー担当者)としている。

 伊藤忠商事は、アジア地域の食品企業コングロマリットであるCPグループ(チャロン・ポカパン)、中国国営の総合企業グループであるCITICと包括提携しており、食品などを中心に中国市場での展開を強化しているが、「当然、ヘルスケア分野も今後の有望事業分野と捉えている」(同)としており、百洋医薬との提携を契機にヘルスケア分野での中国市場展開を強化していく考え。同社によると「総合商社が中国の大手医薬健康企業グループと包括提携を締結するのは、今回が初の事例になるのでは」(同)としている。


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