プラズマローゲン認知機能改善作用 ホヤ由来にも有効性(2018.6.21)


 ホヤ由来プラズマローゲンの摂取による認知機能改善作用がプラセボ対照二重盲検並行群間比較試験(RCT)で初めて確認された。健康食品受託製造の三生医薬らが実施したもので、結果をまとめた論文を海外ジャーナルに現在投稿中。受理され次第、機能性表示食品の届出資料の取りまとめにかかり、今秋にも届出サポート体制を整える。

届出サポート 今秋にも体制
 三生医薬は三陸産ホヤを原料にしたプラズマローゲンを独占的に取り扱う。原材料供給はせず、主要受託生産品目であるソフトカプセルでの最終製品OEMに対応する。機能性表示食品の届出サポートにあたっては、まず、今回の論文を活用した最終製品臨床試験に関する届出資料を用意。その後研究レビューも実施する計画で、新たな臨床試験を行うことも検討する。

 機能性表示食品として販売できるようにすることで、東日本大震災の影響で打撃を受けた、宮城県を中心とする東北地方のホヤ養殖業者の支援にもつなげたい考えだ。また今回の論文は、顧客開拓を進めている海外市場でも活用する。そのため、論文は英語でまとめ、「インパクトファクター(文献引用影響率)の高いジャーナルに投稿した」(同社・又平芳春研究開発本部長)という。

 試験結果は先月開催された日本栄養・食糧学会大会で初めて公表した。ホヤ由来プラズマローゲンの原料調達や製造で連携する日本薬品も参画した今回の試験は、記憶力の衰えを感じている日本人の健常成人男女49名(プラズマローゲン群25名、プラセボ群24名)を対象に12週間実施したもの。認知機能の評価にあたっては、「コグニトラックス」というコンピュータを使った検査技術を使い、視覚記憶力や言語記憶力などを指標に認知機能の改善度合いを調べた。

 その結果、ホヤ由来プラズマローゲンをプラズマローゲンとして1日あたり1㍉㌘摂取した群は、視覚と言語の記憶力を合わせた「総合記憶力」がプラセボ群と比べて有意に改善した(=図)。個別に見ると、視覚記憶力は摂取12週間後にプラセボ対比で有意に改善。言語記憶力に関しは改善傾向が認められたという。

 この試験でプラセボ群はMCT(中鎖脂肪酸)オイルを摂取。ホヤ由来プラズマローゲン(プラズマローゲン含有ホヤ抽出物)は濃度調整のためMCTを添加しており、試験で確認された効果がMCTによるものと指摘されないようにするため、プラセボはMCTとした。

 又平研究開発本部長によれば、ホヤ由来プラズマローゲンは、構成物質の脂肪酸の多くがDHAなどオメガ3で占めるため「DHA結合プラズマローゲン」とも呼ばれ、ヒトの脳に含まれるプラズマローゲンと構造が似かよっている。また、アルツハイマーの原因物質とされるアミロイドβの凝集を抑制したり、分解を促進したりする効果が、他のリン脂質と比べて顕著に高いことを示すデータも得られているという。

 プラズマローゲンはリン脂質の一種。健康食品原材料としては現在、三生医薬のホヤ由来の他に鶏由来、ホタテ由来がそれぞれ製品化されており、イチョウ葉エキスが機能性表示食品として届出受理されて以来需要が拡大傾向にある、脳機能サポート素材として提案されている。


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