特商法違反 個人に業務禁止命令 法改正後初 法人も処分(2018.8.9)


 消費者庁は7月27日、昨年12月の特定商取引法の一部改正で新たに設けた個人への行政処分を初めて適用した。ガンや認知症に効果があるなど虚偽の説明をして健康食品「還生源」を販売していた電話勧誘販売業者の健楽園(東京都豊島区)に対し、特商法が定める商品の効能に関する不実の告知及び契約書面の交付義務違反にあたるとして、3カ月間の業務停止(勧誘、申込受付及び契約締結)、併せて業務を統括していた実質的な経営者にあたる同社部長に対し、3カ月間の業務禁止を命じた。

 全国の消費者センターには15年以降から今年7月までに、同社に関する相談が100件以上寄せられていたという。これら相談は40都道府県に及んでいる。同社に関する契約当事者は80歳以上が7割を占めていた。商品購入金額は10万円未満が大半だが、なかには100万円以上に至ったケースもあった。同社の18年3月期の売上高は1億9100万円。

 同庁では、違反を下した後に法人を次々と立ち上げて違反行為を行う悪質事業者に対し、改正特商法において、「業務停止を命ぜられた法人の取締役やこれと同等の支配力を有すると認められるもの等に対して、停止の範囲内の業務を新たに法人を設立して継続すること等を禁止する」規定を新たに設けた。同庁としては初の特商法に基づく個人への行政処分は、これを適用した。

 同庁の調べによると、同社は、赤ワインエキスや日本山人参などを配合したお試しサンプル品(10粒入、税込1000円)やレギュラータイプの健康食品(150粒入、同8万1000円)を、遅くとも2017年10月以降からテレフォンアポインター、健康アドバイザーと称する勧誘者が電話で勧誘する際に、「ガンにならないためにはこれを飲んでいたらいいです」「認知症にも効果があります」など、ガンや認知症の予防若しくは治療、症状の改善に効果があるよう告げていた。同庁は、告知事項の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料を求めたが、同社は期間内に資料を提出しなかったという。

 また、同健康食品の売買契約を結んだ購入者にその契約内容を明らかにする書面は交付していたものの、クーリング・オフに関する事項、代表者氏名、契約締結の担当者の氏名、売買契約解除に関する諸事項などの記載がなかった。


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