景表法 巨額化する課徴金 1億円超、健食で過去最高額(2018.11.8)

景表法合体①

 健康食品の広告表示を巡る景品表示法違反に絡み、10月は金額の大きな課徴金納付命令が相次いだ。1億円を超える、2016年4月に導入された景表法の課徴金制度では史上2番目、健康食品関連では過去最高額となる命令も出ている。「酵素」を訴求するドリンクで目に対する働きを不当表示していたと認定された企業にも、1800万円余りの課徴金が命じられた。

 消費者庁が10月に下した景表法に基づく課徴金納付命令は計6件。課徴金額は計2億3387万円に上り、うち健康食品関連だけで計1億2966万円と過半数を占める。

違反期間の売上36億円
 同庁の発表によると、合理的根拠が無いにもかかわらず「摂取するだけで容易に痩身効果表示」をウェブサイト上で行っていたなどとして、10月31日、措置命令と同時に1億886万円もの健康食品関連では過去最高額の課徴金納付命令を受けたのは、EC通販事業者のシエル(東京都渋谷区)。

 問題となったのは、タレントも起用しながら同社が自社ウェブサイトで行っていた「めっちゃたっぷりフルーツ青汁」という健康食品の表示で、16年4月1日から今年7月30日まで約2年半の課徴金対象期間中に36億円余りを売り上げていた。景表法の課徴金制度では、最大3年間を上限とする対象期間の売上額に3%を乗じて納付命令金額を算出する。

 同社は有利誤認も認定された。毎月300名限定で割引価格での定期購入が可能であるように表示していたものの、実際は最大2万人以上を新規定期購入者として受け付けていた月があるなど著しく超過しており、同社は実態として人数制限を設けていなかったと判断された。

「酵素」飲料で1800万円
 一方、10月25日、全国紙に複数回掲載した「山野草醗酵酵素ブルーベリーDX」という飲料の広告を巡り、措置命令と同時に1814万円の課徴金納付命令を受けたのは、健康食品販売の言歩木(ことほぎ、千葉県市川市)。課徴金対象期間16年5月27日から17年11月1日までの約1年半で、6億円余りの売上があった。

 同社が景表法違反(優良誤認)を問われたのは、全国の農家を購読者に抱える日本農業新聞に16年5月以降計4回掲載した広告。合理的根拠がないにも関わらず、同品に含まれる酵素の働きにより視力回復効果が得られるかのような不当表示を行っていたと認定された。

 同社は不実証広告規制に基づき表示を裏付ける合理的根拠を提出した。アントシアニンなど含有成分に関する資料の他には、同庁表示対策課関係者によれば、摂取した人の体験談や薬効図鑑などで、「視力回復などに関する具体的な効果に関するものはなかった」という。同社の島田斗牛社長は取材に、「(同品は)数十種類の植物発酵酵素(の配合飲料)のため、(有効成分は一つではないこともあり)合理的根拠の説明は難しかった」などとしており、今後は「エビデンスの確立に取り組み、きちんと表示を行う」としている。

太るサプリに266万円
 この他、10月26日にも課徴金納付命令が下された。ダイエット訴求の逆を張り、「太れる」ことを訴求する健康食品の広告表示で初の措置命令が7月に行われていた通販会社のLife Leaf(東京都港区)に対し、同庁は266万円の課徴金納付命令を下した。

 問題となったのは、同社が自社ウェブサイトなどで行っていた「ファティーボ」という健康食品の表示。同社も表示を裏付ける合理的根拠を提出したものの、同庁は認めず、「摂取するだけで容易に肥満効果表示」だと認定した。課徴金対象期間の17年4月3日から今年7月19日までの1年余りで約8879万円を売り上げていたという。

【写真=違反認定された表示の一例。右:シエル、左:言歩木がそれぞれ行っていたもの。表示全体を踏まえて違法か否かが判断された。(画像は消費者庁発表資料より)】

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