東洋新薬18年9月期 グループ売上 224億円超 (2018.11.22)

東洋高垣②

 東洋新薬は、9日までに2018年9月期業績の一部をホームページや取材で開示した。売上高は、グループとして224億4000万円となった。グループ売上高の多くを占める東洋新薬で、健康食品、化粧品の受託製造が好調に推移。その中で、特に、機能性表示食品に関する売上が伸長したという。

 同社は前期に決算期を3月から9月に変更しているため、前年同期との比較は示していないが、東洋新薬グループとして過去最高の売上高に達した。2期前との比較では、グループ全体売上高がおよそ3割伸長した。

 グループ会社の構成については、主に化粧品の販売を手掛けるフォーマルクライン以外は非開示。そのため東洋新薬単体の業績は分からない。ただ、決算期変更前17年3月期の単体売上高は約153億円であり、本紙推計として、単体売上高は180億円を大きく超えた可能性が高い。

 業績の主たる伸長要因となったのは、機能性表示食品に関する開発・製造など。その中でも特に、葛の花エキスはじめターミナリアベリリカ、フラバンジェノール(松樹皮エキス)といった同社独自素材を活用した届出の増加が売上増につながった。同社の髙垣欣也専務取締役は取材に、「幾つかのヒット商品にも恵まれた」と述べた。

 また、特定保健用食品、青汁、化粧品の受託製造も堅調に推移した。加えて、ここ2年で打ち出している『ODEM(オデム=ODMとOEMを組み合わせた造語で同社の登録商標)』のうち、「OEMの部分でも売上高が増加した」(同)といい、一般健康食品の受託製造も好調に推移したようだ。

 同社は現在、新たな健康食品・化粧品製造工場「インテリジェンスパーク」の建設を進めている。竣工は来年6月頃の予定。今期業績予測は明らかにしていないが、機能性表示食品を軸に、更なる伸長を目指す。

「機能性」伸長の背景は? 「重視するのは届出後」
 東洋新薬の髙垣欣也専務取締役は9日、同社グループの18年9月期業績に関する健康産業流通新聞の取材に応じた。主な一問一答は以下の通り。
──東洋新薬単体の売上高について。
 今期よりグループ全体で業績を発表することにした。売上の主体は東洋新薬で、売上高、伸び率ともに好調だった。
──伸長要因について。
 機能性表示食品に関する案件を数多く頂戴できたことが主たる要因。幾つかのヒット商品にも恵まれた。特に、葛の花エキスを中心に、当社の独自素材を活用していただく届出が増えた。
 トクホ、青汁などの一般健康食品、化粧品もそれぞれ堅調に推移した。トクホも新たに取り組みたいというお客様が一定の割合で存在する。それに、以前の当社は「ODM」に絞っていたが、今は「ODEM」。ODMと同時にOEMの部分でも売上高が増加している。
──葛の花由来イソフラボンの機能性表示食品については昨秋、一部の販売会社が行っていた広告表示が景品表示法違反とされました。影響があったのでは?
 報道によって当社も影響を受けた。ただ、実際に購入されていた消費者から支持されてリピートも多くいただいていたし、業界関係者の多くが問題の本質を理解していた。それがその後の大手企業からの新たな届出につながり、今がある。
──今年に入り、ターミナリアベリリカやフラバンジェノールの届出も増えています。
 葛の花エキスもそうだが、大手食品・飲料企業に採用していただくケースが増えている。消費者認知も大きく高まりそうだ。サプリから届出が始まり、それが一般食品に広がり、消費者認知向上に伴って再びサプリの届出が増えるといった良い循環が生まれつつある。
──今期から「機能性表示食品をお任せください」とアピールする広告を出稿し始めました。狙いは。
 当社は多くのトクホ許可を取得していて、許可されるまでの過程で培った研究開発力を機能性表示食品に応用している。そこは独自素材を配合していない商品も同様で、当社なりの開発基準を設けている。要は、商品の販売開始後、届出内容に責任を持つ事業者様や、消費者に迷惑を掛けないようにするための基準。それに則り、安全性や有効性に関するエビデンスを含めた品質の担保に取り組んできたし、これからもさらに厳しくやっていく。だから「お任せください」。そうしていくことで、この制度と業界の発展につながればという思いも込めている。
──そうした取り組みが業績拡大にもつながっているということ?
 そう考えている。エビデンスの追加、研究レビューの見直しなども必要に応じて取り組んでいるため、費用や時間を掛けている。目の前の売上獲得に執着するという手段もあるかもしれない。しかし、販売開始後に問題が起これば制度にも業界にも傷が付く。何より消費者の方に商品選択の指標のひとつとして制度が長く活用されるためにも、届け出されるエビデンスの質を高め、維持する必要がある。
──今期の業績見通しについて。来春には新工場が竣工します。
 中期経営計画で毎年度の売上高と伸長率の目標が定められている。優しい目標では決してないが、前期は達成できた。今期も達成するつもりだが、まだ始まったばかり。
 新工場の竣工は来年6月を予定している。当社単体の従業員数は9月現在で約1000名。各部門で人員を増強しているが、新工場の稼働を見据え、特に、昨年から生産部門の人員体制を強化している。(聞き手=本紙・石川太郎)

【写真=東洋新薬:高垣 欣也 専務取締役】



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