尿酸値対応 市場形成へ(2019.5.23)

ファンケル尿酸ポスター②

 尿酸値対応市場が機能性表示食品を中心に形成されそうだ。
 ファンケルは、「カロリミット」「えんきん」に続く次期スター製品候補として2月に販売を開始していた尿酸値低減をヘルスクレームとする機能性表示食品のサプリメント「尿酸サポート」のプロモーション展開を今月13日から始めた。同日付で立ち上げたブランドサイトで情報発信するとともに、車内動画広告などの交通広告を展開し、「尿酸対策サプリ=ファンケル」の認知を広め、メインターゲットとする40~50代男性層の需要を喚起する。

 JR東日本や東京メトロなどで進める交通広告は、車内ポスターや車内動画広告を展開。購買想定層が多く利用する電車内に集中的に広告を投下する。掲載期間は約1カ月。まずは首都圏エリアに出稿し、それ以外の地域の販促については下期以降に検討する。

 動画広告にはお笑い芸人の博多華丸・大吉さんを起用し、尿酸値が高めで美味しい食べ物に手が出せない中高年男性に対し、博多華丸・大吉さんが「尿酸サポート」をコミカルに紹介する内容。

届出が増加傾向 大手中心に9件
 尿酸値に対応する機能性表示食品の届出は増加傾向にある。第1号としてファンケルの「尿酸サポート」の届出が昨年9月に公開されたのを皮切りに、現在までに9件の届出がある。大手企業を主体にした届出が進んでいるのが特徴だ。水面下でも新たな届出に向けた動きも進んでいるようだ。

 尿酸値対応の機能性表示食品の届出に当たっては、3月末の届出ガイドライン改正で追い風も吹いている。アレルギー領域とともに、軽症者データの条件付きでの使用が例外的に認められたためだ。血清尿酸値が7.1~7.9㍉㌘/デシ㍑までは軽症者域(7.0㍉㌘/デシ㍑までは健常者域)と整理された。

 高めの尿酸値を下げたり、上昇を抑制したりする働きを訴求する機能性表示食品をこれまでに届け出たのは、ファンケルはじめDHC▽富士フイルム▽日本薬師堂▽明治▽サッポロビール▽大正製薬▽UMIウェルネス──の8社(17日現在)。明治はヨーグルトを届け出た。

 市場では、ファンケルに続いてDHCが4月、「ルテオリン尿酸ダウン」(サプリメント)を発売。届出データベースによると、日本薬師堂も「尿酸値対策」(同)の販売をすでに始めている。発売済みは今のところ同3商品にとどまるが、新発売に向け、ファンケルが始めた販売プロモーションの動きが、届出各社の背中を強く押す可能性がある。

関与成分も増加 アンセリン牽引
 一方、尿酸値対応で届出のあった機能性関与成分を見ると、件数が最も多いのはアンセリン(5件)となっている。

 アンセリン含有魚肉抽出物を製造する焼津水産化学工業子会社のUMIウェルネスや日本薬師堂の他、富士フイルムがサプリメントの「アンセリン」、サッポロビールがノンアルコールビールの「うまみ絞り」を届け出ている。さらに今月15日の届出情報更新で大正製薬からの届出も公開。同社は09年にアンセリン配合の粉末飲料タイプの健康食品を発売していた。

 成分としてはこの他、ルテオリン(届出者=DHC)、PA‐3乳酸菌(同=明治)、アンペロプシン・キトサン(同=ファンケル)がこれまでに届け出られている。これら成分のうち、原材料メーカーらによる届出サポートを通じて届出件数がさらに積み上がりそうなのは、アンセリンとルテオリンだ。

 アンセリンについては、焼津水産化学工業がシステマティックレビュー(SR)を実施するなどして届出サポートを進めている。また、フラボノイドの一種であるルテオリンについては、同成分を規格化した「菊の花エキス」を製造販売するオリザ油化がSRをまとめ、届出サポートに対応している。オリザ油化は、同エキスを使った臨床試験も実施した。

【写真=電車内の中刷り広告で需要を喚起する】

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