認知症対策で数値目標 政府、25年までに6%削減(2019.5.23)


 政府の「認知症施策推進のための有識者会議」(座長・鳥羽研二・国立長寿医療研究センター理事長特任補佐)は16日、会合を開き、新たな認知症対策案をまとめ、その中で2025年までに70歳代の認知症の有病率を6%減少させる数値目標を設定することを盛り込んだ。

 数値目標は、1万人コホート調査を参考にした。同調査によれば、70~74歳の2018年認知症有病率は3.6%、75~79歳では10.4%としており、同有識者会議では、70歳代の認知症発症を10年間で1歳遅らせた場合、有病率で相対的に約1割の低下になるとした。このため2025年までに区切った場合、6年間で6%減少となる。

 25年を目標時期とした理由は、25年以降、団塊の世代が全て75歳以上となり、後期高齢者人口が急増することが予想されるため。80歳以上では認知症の有病率がさらに高くなることもあり、具体的な数値目標を設定することで、対策をより促進させたい考えだ。

 認知症の予防対策は、「一次予防」(発症リスク低減)、「二次予防」(早期発見)、「三次予防」(機能維持、行動・心理症状対応など重症化対策)を基本とする。

 具体的には、運動不足の改善、社会的孤立の解消など予防を重要とし、高齢者の社会参加や保健師、管理栄養士などによる健康相談、早期発見を推進するとした。

 また、予防に資する公的保険以外の民間商品やサービスの認証・評価の仕組みを検討する方針だ。健康食品を含む食品分野にとっては、この認証・評価の仕組みが、ひとつの焦点となりそうだ。

 さらに、不十分だとされる予防のためのエビデンス蓄積にも力を入れる。予防に関する内外の論文収集ほか、認知症発症・進行のメカニズム解明や認知症バイオマーカーの開発、予防研究に資するコホートの構築、認知症の疾患修飾薬候補の治験も開始する。

 「認知症施策推進のための有識者会議」は、認知症施策推進関係閣僚会議の下部組織となるもので、政府では有識者会議の案をベースに既存の認知症施策推進総合戦略を見直し、大綱に格上げして、同関係閣僚会議で決定する方針だ。


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