JAROが警告 不妊への効果標ぼうに (2019.7.11)


 妊娠を促す効果を標ぼうするかのような健康食品の表示にJARO(日本広告審査機構)が待ったをかけた。「授かる体の新習慣」などと謳う青汁を販売するなどしていた事業者に対し、医薬品医療機器等法(薬機法)などの関係法令に抵触するおそれがあるなどとして、広告文言の改善を求める文書を発信した。法的強制力があるものではないが、JAROは「改善が実施されない場合や、悪質な案件については、関係行政と相談し対応する可能性もあり得る」としている。

 JAROは先月19日、「2018年度の審査概況」を発表し、様々な業界の専門家で構成される業務委員会が審議した結果、広告・表示の適正化を促すために「警告」したものが21件あったとしている。業種では健康食品や化粧品が多く、通信販売業、医薬部外品、雑貨などが続いた。健康食品の事例は6件あり、そのうちの2件が、妊娠に効果があると標ぼうしているとも受け止められる表示が行われていた健康食品だった。

 JAROの調査資料で示された実際の警告事例として、通販サイトでの「ミトコンドリアの働きを改善することで不妊に効果があるかのように標ぼうしていた健康食品」と、通販サイトと動画配信で「『妊活』『授かる体の新習慣』などと謳った青汁」を取り上げ、薬機法や景品表示法、健康増進法などに抵触することから、当該事業者に表示の改善を求めたとしている。

 これらの警告した健康食品の表示についてJAROは、「妊娠に効果があると標ぼうする健康食品の広告が特段に多かったわけではない。ただ、この2件に関しては不妊に効果があるとほぼ直接的に表現しており、(関係法令にも抵触することから)警告に値すると判断した」と話す。〝妊活〟という表現自体が「NG」ではないとの見解を示している。

 妊活を訴求する健康食品は、アイテム数が増加傾向にあるとみられる。一口に〝妊活〟訴求と言っても、妊娠を計画している女性に葉酸配合サプリメントを提案する場合から、不妊に悩む女性に対し、妊娠効果を暗示的に標ぼうするようなものまである。こうした表示にJAROが警告を出したのは今回が初かどうか不明だが、行き過ぎた表示には注意が必要といえそうだ。

 なおJAROでは、今月3日付の公式ツイッターにおいて、妊活を謳った栄養機能食品の動画広告と販売サイトに対し、薬機法、健増法、景表法に抵触するおそれのある表現が見られたとして改善を強く求めたことを伝えるなど、消費者に注意を促している。


Clip to Evernote

ページトップ