プロテイン、飲料でも 利用者層の拡大 市場に変化(2019.8.22)

プロテイン合体①

【写真=売上を伸ばす(右):「ザバスMILK PROTEIN」と7月に発売した(左):「キリン サプリ プロテイン」】

 一般飲料タイプのプロテイン商品の需要が拡大しているようだ。背景にはプロテインのライトユーザー層や一般消費者層での利用の広がりがあるとみられる。好調を背景に、大手飲料メーカー各社が飲料タイプ商品の市場投入に本腰を入れるとの見方もあり、今後の行方が注目されそうだ。

 プロテインは粉末タイプが一般的で、ボトルなどに粉末を入れて、水などで溶かして摂取する。飲料タイプは、グラム当たりの価格は粉末より高くなるが、一般飲料そのものなので、手軽に摂取できる利点がある。粉末以外では、ゼリータイプも以前からある。

 業界関係者によると、最近になって、飲料タイプの人気が高まっているという。明治の「ザバスMILK PROTEIN」(乳飲料)はその代表格だ。同品はすでに2015年に発売されているが、それまで20億円に届く程度の売上高だったのが、18年に約60億円と急伸し、今年は90億円台に届きそうな勢いだという。

 同社によると、従来のミルクプロテインは、酸性である胃の中で凝集するのが一般的だが、同品は技術開発により、凝固せず吸収性に優れ、これにより「すっきりして飲み易いプロテイン飲料」(広報部)を実現したという。

 他社では、キリンビバレッジが7月23日、「キリン サプリ プロテイン」をローソン店舗限定で発売した。同品は飲料「キリンサプリ」シリーズの一品で、「最近のプロテインブームを背景に、市場投入を決めた」(同社広報部)という。

 この他の大手飲料メーカーは商品を投入していないが、プロテイン市場に詳しい業界関係者によると、「プロテイン飲料の人気を見て、(大手飲料メーカーが)相次いで参入する可能性がある」と指摘する。明治の広報担当者によると「ミルクプロテイン好調の背景には、購買層がプロテインの〝ライトユーザー層〟や健康に関心を持つ一般層に広がっていることがある」と分析しており、「消費者の健康志向が高まる中で、こうした状況を大手飲料メーカーは見逃さないと思う」(前出の業界関係者)という。

 プロテイン市場自体はすでに拡大を続けており、市場調査会社によると、市場規模は2018年の約300億円から、20年には400億円に達するとしている。「今までは比較的〝コア〟なユーザー層が需要を引っ張ってきた。しかし、プロテイン飲料で一般層の認知度が上がれば、プロテイン市場は一気に拡大する」(前述の業界関係者)という。

 プロテイン飲料の人気がプロテイン市場にどう影響を与えるのか。今後の動向が注目される。



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