指定成分 近くパブコメ実施へ 制度の大枠ほぼ固まる(2019.9.12)


 改正食品衛生法に導入された健康食品の安全性を巡る新たな規制「指定成分制度」。近く、パブリックコメント(意見募集)が実施される見通しだ。食品安全委員会での審議が終わり、制度の大枠はほぼ固まった。第1弾の指定成分は、プエラリア・ミリフィカ▽ブラックコホシュ▽コレウス・フォルスコリー▽ドオウレンの4植物素材となる可能性が極めて濃厚。新制度は来年6月にも施行される。

 9月3日に開催された食品安全委員会の第755回会合。指定成分制度を所管する厚生労働省(食品基準審査課)の説明に対し、委員長はじめ委員は疑問をほとんど示さず、審議は60分足らずで終了した。

 同省がこの日説明したのは、①プエラリア・ミリフィカ等4品目の指定成分制度等への指定について②指定成分等を含有する食品の製造または加工の基準の設定について──の2つ。5月と7月の2回にわたり同省の薬事・食品衛生審議会(食品衛生分科会新開発食品調査部会)で審議、了承された指定の妥当性や製造・品質管理基準の概要を説明した。食安委はこれをほぼそのまま受け入れた格好だ。

 同省は近く、国民への意見募集を実施する。その結果を薬事食品衛生審議会食品衛生分科会に諮り、最終的に12月末までに指定成分制度に関する省令、告示を公布する予定だ。このため業界や消費者団体が公式に異論・反論を提示できる機会はパブリックコメントが最後となる。

 一方、食品表示を所管する消費者庁は今後、指定成分を含む食品(指定成分含有食品)に関する容器包装等への表示規定を定める。早ければ省令や告示に合わせて通知されそうだ。「指定成分含有食品」などとパッケージ等への記載が求められる可能性も考えられる。

 同省はこの日の審議で、指定成分含有食品は「従来の(規制の)枠組みに当てはまらないもの」だとの考えを改めて示した。5月の食品衛生分科会新開発食品調査部会の審議の際も、指定成分含有食品の定義をこう説明していた。「直ちに健康影響が生じるようなものではないが、その使用・摂取方法等によっては健康影響を生じさせる可能性が否定できないもの」

 食衛法に基づく健康食品の安全性確保措置は従来、第6条(有害・有毒物質が含まれる食品等の販売禁止=事例・コンフリー)、第7条(通常の方法と著しく異なる方法により飲食に供されているもので危害発生防止のため必要な販売禁止=同・アマメシバ)、第11条(規格基準を定めて不適合のものの販売禁止=事例なし)──の主要3規定を根拠に運用されてきた。今後、この3規定に指定成分制度が加わる形になる。

改正食衛法 新8条で規制
 厚労省は昨年6月に公布された改正食衛法の新8条で規定した指定成分制度を通じて、食品関連事業に対し、指定成分を含む食品(指定成分含有食品)で健康被害が発生した場合、その情報の都道府県等への報告を義務づけることにしている。

 また、指定成分含有食品の製造・品質管理基準(GMP)を定めて告示し、その遵守も食品関連事業者に事実上義務付け、製造部門と品質管理部門の独立、製品標準書や手順書等の作成、製造管理・品質管理方法に関するバリデーション──などを求める。とくに、最終製品の出発点となる原材料の段階からの適切な製造管理、品質管理を求めたい考えを示唆している。

 厚労省が指定成分制度を導入した狙いは、生理活性が強い成分を、とくにカプセルや打錠の食品を通じて過剰摂取してしまうことによる健康被害の未然防止だ。

 念頭には、2年前、因果関係は明らかではないものの、比較的若い女性を中心に月経不順などの健康被害の訴えが急増した「プエラリア・ミリフィカ問題」に対する反省がある。従前の食衛法では、健康食品による健康被害情報の収集が制度化されていなかったため、法的措置を講じるために必要十分な情報収集ができなかった。

 プエラリアには、非常に強いエストロゲン(女性ホルモン様)作用を持つミロエストロールなどの成分が含まれる。

 だが、厚労省は、問題を受けた調査の結果、それら成分について「製造工程において管理が行われていなかった実態」を把握。これを受け、健康被害情報の届出を義務づける指定成分制度を導入し、健康食品に求められるGMPを指定成分含有食品の製造・品質管理基準として規定する方針を打ち出した。

 食安委は3日の審議で、厚労省が示した「指定成分等含有食品の製造または加工の基準(骨子案)」に対しても、ほとんど疑問を示さなかった。骨子案の内容は、食安委ウェブサイトの「第755回会議詳細」に掲載された「資料1‐2」で確認できる。




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