アピ 大型設備投資 51億円 過去最高額 リトルPETを強化(2019.9.26)


 健康食品受託製造のアピは、2020年8月期(今期)の設備投資予算に過去最高の51億円を計上した。そのうち約24億円を、容量30~140㍉㍑の「リトルPETボトル」の生産ライン増設に充て、生産能力を倍増させる計画。今期は大型な組織改革も実施し、9月1日付けで戦略開発本部を新設した。これまで独立していた「長良川リサーチセンター」を同本部に統合し、事業戦略開発部門と研究開発部門を一体化させた。

 今期の設備投資額は前期比で約2倍。大部分を健康志向飲料や食品の生産強化に充てる。
 リトルPETボトルの新たな生産ラインは、ネクストステージ工場と揖斐川工場(ともに岐阜県揖斐郡)の隣接倉庫内に新設する。約36億円を投資した新たな物流拠点「クオリティ&ロジスティクスセンター」の竣工で空いたスペースに設置する。稼働は来年2月の見通し。

 ライン増設によって生産能力を現行の1分間300本から同700本と2倍超にまで引き上げる。ネクストステージ工場に設置している既存ラインよりも生産能力の高い設備を投入する。

 アピがリトルPETボトルの生産ラインを導入したのは15年。健康食品受託製造企業としては初めてだった。健康志向や機能性をアピールする飲料の形状は小瓶やアルミボトル缶にほぼ限られていた中で、新たに小型ペットボトルの受託製造を可能にした。瓶やアルミボトルに比べて割れにくかったり、潰れにくかったり、軽かったりする特長がある。

 リトルPETボトルは乳酸飲料などで需要が伸びている。そのため、最近ではフル稼働が常態化し、新規の引き合いへの対応が難しくなっていた。今後、コンビニエンスストアなど一般流通向け製品での需要拡大が見込めることもあり、大型な設備投資を決めた。

 また、前期に生産ラインを増設していた一回使い切りの特殊な飲料形、ブローパックへの設備投資を今期も行う。自動化システムを新たに導入し、省人化などを進める計画だ。今期の設備投資予算のおよそ半数をドリンク受託生産体制の強化に充てる。

大型な組織改革も戦略開発本部新設
 アピは今期スタートと同時に大型な組織機構改革を実施。従来の4本部制から7本部制に組織を改めた。

 そのうち新設した戦略開発本部には、新規事業開発部などを置いた他、これまで独立していた研究開発を担う「長良川リサーチセンター」を同本部に統合させ、事業戦略部門と研究開発部門の有機的一体化を図った。事業戦略に直結した研究開発を進める狙い。

 また戦略開発本部には、機能性表示食品を専門的に手掛ける部門も新たに置いた。これにより機能性表示食品の研究開発、顧客への届出サポートを大きく強化する。

 これまでも独自に機能性関与成分のシステマティックレビューを実施して届出実績をつくるなどしてきたが、そうした取り組みを大きく加速させたい考え。既存届出にはない新規ヘルスクレームや機能性関与成分の開発も目指す。

 なお、19年8月期の業績は速報値で売上高が前期比2%減の359億円、経常利益は同10%減の21億円。今期は売上高395億円、経常利益25億円のいずれも過去最高を予定している。

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