国セン品質 調査報告書 2大業界団体 対応バラバラ (2019.9.26)


 国民生活センターが8月1日公表した錠剤・カプセル状健康食品の品質テスト(錠剤・カプセル状の健康食品の品質等に関する実態調査)結果報告書。健康食品業界はどのような姿勢で臨むべきなのか。業界を代表する業界団体、健康食品産業協議会と日本健康・栄養食品協会がそれぞれ見解を示したが、両団体の捉え方は大きく食い違う。業界対応のちぐはぐさが際立つことになった。

 調査対象100銘柄のうち42銘柄が医薬品(日本薬局方)に定められた規定の時間内に崩壊しなかった――国センは今回の品質テストで崩壊試験を実施し、結果をそう伝えた。また、2銘柄については有効成分の表示量と実際の含有量に大きな乖離が見られたとした。

 その上で国センは、業界や事業者に対して、「一定以上の品質の商品が製造されるような共通の規格・基準を作成するなど、品質向上に向けた取り組みの検討」をすることなどを要望した。

 こうした報告書の内容に対し、産業協議会は強く疑問視する声を上げた。報告書の内容は「消費者に医薬品として誤認を生じさせる可能性がある」と問題提起。より適切な表現で報告すべきだと主張した。

 国センが実施した崩壊試験についても、「食品に義務付けられた基準はない」とした上で、「各企業が製剤特性などから各企業のルールに基づき崩壊試験の方法や時間設定などをしている」として国センが医薬品の基準を健康食品にそのまま適用させたことを疑問視。「正しい情報を消費者へ提供していない」と厳しく非難した。

 また、国センが報告書について記者会見した際の説明内容を「別途追報」することを要望した。国センは先月1日に行った記者会見の中で、医薬品の規定通り崩壊しなかったからといって、健康食品の品質管理上とくに問題になるわけではないとする主旨を述べていたためだ。「報道資料をすべてとしてとらえている方が多い。実際の報道発表での説明が大変重要になる」と訴えた。

 このように産業協議会が報告書の内容に対して問題提起する一方で、日健栄協は「重く受け止める」と表明。産業協議会とはまるで異なる反応を示した。

 その上で、周知の通り、協会で認定した健康食品GMP工場に対し、錠剤・カプセル状健康食品の崩壊試験を義務づける方針を早々に固め、その旨を先月2日付けで関係各社に通達した。

 国センは、両団体から寄せられた声を同報告書の報道資料に追加する形で9月17日までに公開。そのなかで産業協議会からの声については「業界の意見」、日健栄協については「業界の対応」と説明した。ともに同じ業界の業界団体でありながら、意見と対応があまりにちぐはぐな印象を与えることになった。
 一本にまとまることのできない健康食品業界の弱みを改めて露呈したといえる。

 産業協議会の意見は正論だと考えられる。日健栄協が崩壊試験の義務化を決めたことも、「関係先との連携・協調不足」「拙速すぎる」などと批判の声が上がっているとはいえ、製造・管理品質の向上を考えれば、あながち否定できるものではない。だが、こうも両団体の打ち出しがバラバラでは、船頭多くして船山に上る恐れがある。早期の一本化が求められる。



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