【インタビュー】ユーグレナの海外戦略 ~福本拓元取締役に聞く(2014.2.20)

04ユーグレナ

 微藻類ミドリムシ(学名:ユーグレナ)がいよいよ海外サプリメント市場に進出する。足元、日本での業績は好調。協同乳業のヨーグルトやUHA味覚糖のアメ・グミに配合されるなど、ここにきて目立つ一般食品市場発の話題が、ユーグレナ健康食品の新たな需要を呼び込む好循環も生んでいる。「日本での伸びが鈍化してから海外に出るのでは遅い」と話す㈱ユーグレナの福本拓元・取締役マーケティング担当に海外戦略を聞いた。

─中国で食経験のない食品が登録される必要のある新食品原料(旧新資源食品)にミドリムシが認められた。

 今後、健康食品以外も含めて最大の消費国となるのは中国に間違いない。その中で、欧米でも各種許可を得ていくことに今度なると思うが、まずは中国を中心にしたアジアに進出するための投資をしてきた。新食品原料の取得は、それが花開いた格好だ。日中関係が不安定な中で、画期的なことだとも思う。申請から取得までに要した時間も1年半と、予想以上に早かった。機能性を表示できる保健機能食品(いわゆるサプリメント)の申請準備も進めている。

─ミドリムシを中国でどう広げるのか。

 アジアを中心とした海外でミドリムシ食品の市場規模を300億円に到達させることを2018年までの中期経営目標として掲げており、その大半が中国での売上になると予測している。時間的な余裕はあまりないといえ、日本と同様にクローズドマーケットを中心にした販売展開を検討しているが、自社商品の市場投入はよりスピード感をもって行う。OEMでの売上高を数十億円規模まで伸ばし、体力を蓄えた上で自社製品を打ち出したい。自社製品の発売までに日本では7~8年を要したが、半分程度に短縮させたい。

─日中関係が政治的に悪化している中で、日本製品を中国に売り込むのは困難という見方もある。

 日本と中国は経済的に切っても切れない関係であり、その点はあまり気にしていない。我々の販売ターゲットとなる中国の富裕層もそう考えているはずだ。日本製の高品質な健康食品、かつ新規性の高いユーグレナは、人口1億人ともいわれる中国の富裕層に必ず受け入れてもらえる。

─消費者認知度をどう高めるか。

 『ミドリムシ』というキーワードが日本で有効だったように、自発的に拡散してくれるようなキーワードを見つける必要はある。ミドリムシの中国名は公式には『裸藻(らそう)』だが、『眼虫(がんちゅう)』という別名もある。中国に関しては広告宣伝にも積極的に投資していくつもりだ。

─昨年末にハラル認証も取得した。

 日本、中国など東アジアの次に我々が重要視しているのは東南アジアだ。この地域にはイスラム教徒が集中しているし、世界的に見ても巨大市場になりつつある。バングラディシュに事務所を開設していることも含め、ハラル認証の取得を行った。イスラム圏で食品を販売するならば、ハラル認証の取得は必須だろう。
 サプリメントの販売エリアとして見ても、インドネシアは巨大な人口を抱えているし、大手ネットワークビジネス企業も進出しているタイやマレーシアではクローズドマッケートがかなり伸びている。中国も同様の状況だといえ、こうしたアジアの地域に、日本の先端技術を活用したサプリメント原料を展開することは、サプリメント先進国の米国で同じことをするよりも意味合いは大きいと考えている。

Clip to Evernote

ページトップ