認知機能の維持 ココアやチーズでも 食品メーカー大手、研究活発(2019.11.7)


 サプリメント以外の一般加工食品について、認知機能の維持・増進に及ぼす影響を検証しようと、食品メーカー大手が臨床試験を積極的に実施している。機能性表示食品として市場流通させたい狙いも強いとみられる。サプリメントを含めた食品市場に今後、認知機能対応カテゴリーが形成される可能性もゼロではなさそうだ。

 「ココアを一杯摂取で記憶力や判断力機能を一時的に維持・増進することを証明」

 森永製菓は7日、こう題したプレスリリースを配信し、カカオフラバノールを30mg含有するココアの単回摂取ヒト試験(プラセボ対照)結果を発表した。20~40歳の健常男女15名を対象にしたもので、試験の結果、一時的に視覚記憶や反復速度が維持・増進されることが示唆されたという。

 一方、明治はカマンベールチーズ(白カビ発酵チーズ)について研究している。

 同社はMCI(軽度認知障害)の高齢女性71名を対象にしたランダム化クロスオーバー比較試験を実施し、6日、同チーズの摂取でBDNF(脳由来神経栄養因子)が上昇されることを確認したと発表した。

 試験は、桜美林大学、東京都健康長寿医療センターと共同で実施。試験食群は市販の6ピースカマンベールチーズを1日2ピース摂取。対照群は市販の6ピースプロセスチーズを同様に摂取した。摂取期間は3カ月。

 BDNFは、アルツハイマー型認知症との関連も報告されている神経成長因子。認知症になるとBDNFの脳内濃度が低下するとも言われており、明治は今回の試験結果について「カマンベールチーズ摂取による認知症予防の可能性を示唆した研究成果」だとする。同社は、『北海道カマンベールチーズ』を以前から販売している。

 森永製菓のココア試験は「薬理と治療」の19年47巻10号に掲載される。明治らのチーズ研究は9月、老年医学分野のジャーナル「JAMDA」に論文掲載された。
 これまでに届け出されている機能性表示食品のその他加工食品(サプリメント以外)のうち、認知機能関連をヘルスクレームにした届出は現在、DHA・EPAを中心に43件。生鮮食品でも2件ある。サプリメントは168件に上る。

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