「機能性」事後チェック指針案を公表 消費者庁、パブコメも開始 4月1日施行へ(2020.1.16)


 消費者庁は16日、機能性表示食品の「事後チェック指針」の原案を公表し、パブリックコメントの募集を開始した。募集期間は来月14日必着。意見を取りまとめて今年度末までに策定、通知し、4月1日に施行する予定だ。

 指針の正式名称は「機能性表示食品に対する食品表示等関係法令に基づく事後的規制(事後チェック)の透明性の確保等に関する指針」となる見通し。届出後規制の透明性を向上させたり、不適切な表示に対する企業の予見性を高めたりする狙いがある。政府の規制改革実施計画を受けて同庁で策定することになった。

 現段階では全9ページと届出ガイドラインと比べると小ぶりな指針だが、「機能性表示を行う上で、科学的根拠として明らかに不適切であると判断される事例等や、広告その他の表示を規制する(景品表示法や健康増進法など)各法令上問題となる恐れのある事例等」を示すもの。届出者や届出サポートを手掛ける企業にとって極めて重要な指針となる。

 指針案は、①機能性表示食品の科学的根拠に関する事項②広告その他の表示上の考え方──の大きく2パートで構成。また、③として「届出資料の不備等における景表法上の取扱い」も付けられた。

 ①は届出者にとって概ね常識的な内容と思われるが、最終製品臨床及びシステマティックレビューに共通する「NG事項」として、エキス等に含有される特定の成分を機能性関与成分とする場合について、「当該特定の成分のみでは表示する機能性を根拠論文等により合理的に説明できない場合」が示された。

 分量が最も多く割かれたのは②だ。「届け出された機能性の範囲を逸脱する場合は各法令上問題となるおそれがある」とした上で、具体的事例として「あたかも、特段の運動や食事制限をすることなく、誰でも容易に腹部の痩身効果等が得られるかのような印象、認識を消費者が受けるものと判断される場合」を挙げ、これは景表法違反になると言い切っている。

 指針案の全文は、電子政府総合窓口サイト「e‐GOV」のパブリックコメント情報で検索すると確認できる。案件番号は「235070032」。

届出上の不備、景表法でどう扱う? 事後チェック指針案、3原則示す
 消費者庁が16日公開及びパブコメを開始した機能性表示食品の「事後チェック指針」の原案では、「機能性表示食品の科学的根拠に関する事項」「広告その他の表示上の考え方」に続く「第3」の指針として、「届出資料の不備等における景表法上の取扱い」が盛り込まれた。届出後に届出資料の不備などが明らかになった場合の対応について、3つの原則が示されている。

 それによると、景表法上問題になるものと取扱わない事例として、まず、「適切な客観的評価により表示の裏付けとなる科学的根拠が合理性を欠いているものではないと判断されるもの」が挙げられている。「適切な客観的評価」を行う主体については、「機能性表示食品に関する科学的知見及び客観的立場を有すると認められる機関又は組織等」とされており、今後、届け出された科学的根拠の合理性に疑義が生じた場合、その判断は第三者機関に委ねる方向性が示された。

 また、新たな科学的知見が得られることなどによって事後的不備が生じることがあるが、そうした不備を「速やかに把握し、撤回の対応を速やかに行った限り」においても景表法上問題にしないという。逆にいえば、撤回しなければ問題あるものとして取り扱われる恐れがある。

 さらに、「形式的な不備」に関しても、表示する機能性を左右するものではない場合に限り、景表法上問題になるものとは取り扱わないとしている。

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