大豆イソフラボン 女性向け機能で新知見 (2020.2.6)


 ダイゼインが豊富に含まれるアグリコン型大豆イソフラボンを継続摂取すると、子宮内膜症に伴う月経痛が改善される可能性のあることが、ヒトを対象にした試験で示唆された。京都府立医科大学産婦人科教室(北脇城教授)とニチモウバイオティックス(東京都港区)の共同研究によって確認されたもので、試験には、同社が製造販売する大豆イソフラボン原材料『アグリマックス』が使用された。

今後本試験へ
 同社が1月17日に発表した。試験の結果、子宮内膜症性嚢胞(のうほう)の縮小も認められ、アグリマックスは「子宮内膜症治療の新たな選択肢となる可能性がある」としている。試験結果は、1月に開催された第41回日本エンドメトリオーシス学会学術講演会でも発表した。

 北脇教授らと同社は、アグリマックスの子宮内膜症に対する有効性を検証する研究を以前から行っており、これまでに子宮内膜症モデルマウスなどを使用した試験で子宮内膜腫細胞の増殖抑制機能などを確認し、海外学術誌に論文発表していた。これを受けて今回、本格的な臨床試験の実施に先駆けたパイロット試験を実施。「良好な結果を得られた」(同社)ため、現在、臨床研究法に則ったRCT(無作為化比較試験)の実施を計画しているという。

 子宮内膜症は生殖可能年齢の3~10%に発症するとされる疾患。日常生活に支障をきたすほどの痛みを起こす他、不妊の原因にもなるとされる。痛みや病巣進展に対する治療法としてはホルモン補充療法が有効だが、同療法は排卵を抑制するため、妊娠を望む女性にとってはデメリットの残る可能性もある。

月経痛VAS改善示唆
 北脇教授らが実施した今回のパイロット試験では、子宮内膜症性疼痛を訴える女性17名に、1日あたり30㍉㌘のアグリマックスを4カ月間摂取してもらい、摂取前および摂取後1カ月おきに、月経痛、排尿時痛及び性交痛をVAS評価するとともに、子宮内膜症性嚢胞の大きさを測定した。

 その結果、月経痛のVASが摂取2カ月後から摂取前と比べて有意に改善。ただ、排尿時痛や性交痛などについては有意な変化は認められなかった。一方、子宮内膜症性嚢胞径については、摂取3カ月後から有意に縮小したという。

医療機関の取扱い増期待
 ニチモウバイオティックスの天海智博社長は、今回の試験結果について「あくまでもパイロット試験だが、論文発表もしたい。ヒトに対しても有効であることが示唆された。今後の本格的な臨床試験の成果にも期待している」とコメント。アグリマックスは、女性の更年期に伴う諸症状の他、不妊に対する有効性などもヒトを対象とした研究で示唆され、ここ5年で医療機関での取り扱い件数が増加。子宮内膜症への有効性に対するエビデンスを強固なものにし、医療従事者などからの需要を更に高めたい考えだ。



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