ビルベリーエキス、特保申請へ  三次機能の確立図る (2020.3.12)

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三次機能の確立図る 最新論文が国際誌掲載
 眼の疲労に対するビルベリーエキスの有効性を検証した大規模臨床試験結果に関する論文が先月、国際学術誌「Nutrients」に掲載された。機能性食品原材料メーカーのオムニカ(静岡県裾野市)提供のビルベリーエキスを使用したもので、北海道医療大学病院長の北市伸義教授(眼科)が責任著者を務めた。同社は今回の論文を活用して特定保健用食品(トクホ)の表示許可を申請する計画。食品の第三次機能として、目の疲労に対する効果を持つと考えられるビルベリーエキスを、機能性表示食品よりも高いステージに引き上げる。

有効性結論づける試験実施
 オムニカが原材料供給を手掛けるビルベリーエキスの眼疲労軽減機能を検証する臨床試験は2015年以降継続的に実施されており、論文は今回で5報目を数える。これまでの論文も、北市教授はじめ同社の研究開発陣らが手掛けてきた。

 論文によると今回の臨床試験は、一連の臨床試験で得られた結果を「結論づける」ために実施したもの。有効性に加えて、これまでの臨床試験で眼の疲労に対する効果指標として採用してきた「HFC(High Frequency Component)」の妥当性も検証した。

 試験デザインはランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験。摂取期間を12週間と長くすることで、長期摂取時の有効性の減弱の有無、安全性の確認も行った。被験者数は、眼の疲労感を訴える20~60歳未満の健常成人男女109名。これまでの臨床試験結果を踏まえた統計学的根拠に基づいて被験者数を設置したといい、結果的に、アイケア機能性食品原材料の有効性を確かめる臨床試験としてはかなり大規模なものになった。

CONSORT声明に準拠
 また、今回の臨床試験はCONSORT声明2010に準拠した。論文によればビルベリーエキスの有効性を検証する臨床試験として同声明に準拠するのは初という。

 CONSORT声明は、透明性や質の高いRCT(ランダム化比較試験)報告を行うための国際的基準。「2010」はその最新版で、25項目のチェックリストとフローチャートで構成される。国際一流誌の中には、チェックリストが添付されていない論文は受け付けない場合もあると言われる。

 論文によれば、オムニカ製ビルベリーエキスを1日あたり240㍉㌘、12週間の摂取によって、毛様体筋の緊張抑制や緩和させることが示された。毛様体筋は、眼の疲労感やピント調整機能に関わる組織。パソコンなどを使うVDT作業を長時間続けると毛様体筋が緊張する。そのため眼精疲労が起こったり、ピント調整が上手くできなくなったりする。

 オムニカは、ビルベリーエキスでトクホ許可申請を行うにあたり、今回の臨床試験と並行して、ビルベリーエキスの機能性成分、アントシアニン配糖体(VMA)の体内動態試験や、安全性試験も実施したという。許可申請に必要な資料一式はおおよそ揃え終わっている模様だ。

再現性、最新工場で担保
 また、トクホの関与成分や関与成分を含む原材料に求められる製造・品質管理に対応できる体制も整えている。同社は昨年5月、静岡県裾野市に本社工場(裾野工場)を開設。RCTで検証された機能性を全ての製造ロットで再現するための最新鋭機器を導入した植物抽出プラントの操業を昨夏から開始した。昨年末までにGMP認証(一般社団法人日本健康食品規格協会認定)を取得し、現在までにビルベリーエキスを含む複数の植物抽出物の本格的な生産体制を整えている。

 ビルベリーエキスは同社の主要製品の一つ。システマティックレビューなどを実施し、機能性表示食品の届出サポートも展開。販売大手も含めて複数社から届け出されている。トクホ許可が実現すれば、ビルベリーエキスの安全性・有効性に対する信頼性が大きく高まることになる。

【写真=原料となるビルベリーの果実。アイケア機能をヘルスクレームとするトクホはまだ出ていない。実現すればトクホ史上初の快挙となる】

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