ブラックジンジャー 届出件数 どこまで伸びる (2020.3.26)


 丸善製薬が製造販売するブラックジンジャーエキスが好調な動きを見せている。機能性表示食品への採用が進んでいることが主な要因。可能なヘルスクレームが大きく3種類あり、選択肢の広さが届出件数拡大につながっていると考えられる。現在のところサプリメントとしての届出が大半だが、今後、一般食品にも採用が広がれば、ブラックジンジャーエキス市場が形成される可能性がある。

今年度急増18件積み上げ
 ブラックジンジャーエキスに含まれるポリメトキシフラボンを機能性関与成分(名称=ブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボン)にした届出件数は3月18日現在28件に上る。そのうち半数以上の18件が昨年4月以降、新たに届出されたもので、今年度に入ってから、届出件数が急増している格好だ。

 丸善製薬が実施した研究レビューに基づき、現在までに届出されているヘルスクレームを見ると、①日常生活時のエネルギー代謝において、脂肪を消費しやすくする②腹部の脂肪を減らす③中高年の歩く力の維持──の大きく3種類。

 同社のブラックジンジャーエキスは、もともと機能性表示食品制度が始まる以前からウエイト・コントロール(体重管理)素材として需要が高かったこともあり、これまでのところ①、②に関する届出が多い。「日常生活におけるエネルギー代謝において、脂肪を消費しやすくする作用により、BMIが高めの方の腹部の脂肪(内臓脂肪及び皮下脂肪)を減らす機能が報告されています」などといったヘルスクレームが届け出されている。

注目の「歩く力を維持」
 一方、制度施行以降に需要開拓が始まった①に関する届出も増加傾向を見せている。ヘルスクレームを具体的に見ると、「年齢とともに低下する脚の筋力に作用することにより、中高年の方の歩く力を維持することが報告されています」などといった内容で、ここにきて業界内で高まっているサルコペニアやフレイルに対する予防商材ニーズも相まみえ、届出件数が増えているものと考えられる。

 このヘルスクレームを巡っては、化粧品通販大手も注目し、最近、機能性表示食品として新製品を発売した。発売と同時に日刊紙で全面広告を展開しており、販売に力を入れる様子だ。この製品を通じて、同様のヘルスクレームを行うサプリメントの増加が促されるとともに、ブラックジンジャーの消費者認知度が高まることもあり得る。

丸善製薬、拡販体制取る
 ブラックジンジャーエキスの原材料販売を手掛ける丸善製薬としても、前述3つのヘルスクレームを軸に、更なる拡販を図りたい考えだ。現行の原材料に対し、溶解性や風味を改善した新製品の開発を検討しているという。

 現時点では検討しているに過ぎないが、開発が実現すれば、清涼飲料水や一般的な加工食品にも手軽に応用できるようになりそうだ。ブラックジンジャーと消費者の接点が従来よりも広がることになる。

ブラックジンジャー=ショウガ科バンウコン属植物の一種。その根茎部は東南アジアを中心に伝統的に食用とされてきた。近年になり(およそ10年前)、サプリメント向け原材料の原料としても活用されるようになった。有効成分と考えられているのは、根茎に含まれるポリメトキシフラボン。丸善製薬のブラックジンジャーエキスも同成分を標準化している。



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