2.4億円 巨額の課徴金 食品で過去最大 酵素巡る不当表示で(2020.3.26)


 健康食品を巡る景品表示法違反(優良誤認)で、消費者庁は3月17日、2億4988万円にも上る課徴金の支払いを都内企業に命じ、発表した。景表法に課徴金制度が導入されて以来、健康食品など食品として過去最高額で、燃費不正問題で4億8507万円の課徴金を命じられた三菱自動車に次ぐとみられる大型な制裁金となった。

 約2.5億円にも上る課徴金納付命令を受けたのは、ヘルスケア製品の企画や通販を手掛けるジェイフロンティア(東京都渋谷区)。

 消費者庁はこの日、健康食品企画・卸販売のジプソフィラ(東京都新宿区)についても868万円の課徴金納付を命じ、発表した。

 2社とも、酵素などによる痩身効果を合理的な根拠なく標ぼうしていたなどとして昨年3月、同庁から景表法違反(優良誤認)で措置命令を受けていた。

違反期間に売上83億円
 ジェイフロンティアは、現在も販売している『酵水素328選生サプリメント』について、16年11月から18年3月までの約1年4カ月、芸能人も起用した新聞折り込みチラシ、自社ウェブサイトなどで行っていた表示が優良誤認と認定された。同庁の調べでは、同品は違反期間に約83億3000万円の売り上げを計上しており、これに基づき課徴金額を算出。課徴金額は違反行為期間における対象商品の売上に3%を乗じて弾き出す。

 同社の年商は、求人サイトによると18年5月期で約52億円。16年5月期は約20億円にとどまるとされ、同品の売上げで業績を伸ばしていたと考えられる。一方、19年5月期は約61億円とされており、措置命令後も引き続き業績を好調に推移しているようすだ。

 一方、ジプソフィラは、同社の『生酵素』に関する自社ウェブサイトでの表示が優良誤認とされた。認定された違反行為期間は18年3月~同年11月までの8カ月間。この間に、約2億9000万円を売り上げていたと同庁は算定した。

相次いだ処分 市場にも影響
 酵素などによる痩身効果を訴求する健康食品を巡る昨年3月の措置命令では、今回の2社を含む計5社が一斉に処分されていた。今後、他の3社にも課徴金納付命令が行われる見通し。

 酵素を巡ってはそれ以前にも、昨年1月及び18年10月に1件ずつ措置命令が打たれている。課徴金額は2社合計で約3400万円に上る。一連の行政処分が植物発酵エキス市場にマイナスの影響を及ぼしたとする見方は根強い。



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